- 日時
- 2020年02月21日(金)17:30~18:30
- テーマ
- AYA世代を支える看護
(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 がん化学療法看護認定看護師 看護師長 小島千恵美
AYA世代の抱える問題として、就労、就職、結婚、出産、子育てなどの様々なライフイベントに直面し、一人ひとりが自分らしく過ごせるためのサポートが必要となる。第3期がん対策推進基本計画でも、AYA世代のがん対策については重点的に取り組むべき課題として取り上げられている。今回、がん専門病院におけるAYA世代へのスクリーニング調査から明確になった課題をもとに妊孕性、就労支援、子育て中の患者に焦点を当て、当院での具体的な活動について紹介する。
1.「AYA世代へのスクリーニング調査」:病棟での取り組み
国立がん研究センター中央病院 がん性疼痛看護認定看護師 看護師長 石井和美
当病棟は当院で最も多くAYA世代がん患者(以下AYA患者)が療養している。AYA患者を担当する看護師は、適切な支援が提供できているか不安があった。海外でAYA患者のスクリーニングシート(以下シート)が活用されていることを知り、独自のシートを作成した。現在、活用開始から4年になる。20XX年~20XX+1年のデータより、治療初期のつらさの理由の性差を探索した結果、男性は経済面、女性は容姿、人間関係、心理面の支援の必要性が示唆された。シートの取り組みと分析結果の一部を紹介する。
2.「就労支援・妊孕性への介入」:患者サポートセンターでの介入
国立がん研究センター中央病院 緩和ケア認定看護師 副看護師長 木嶋あすか
AYA世代のがん患者の就労に関する相談は、治療と仕事の両立、復職、就職、職場への伝え方など多岐にわたり、当院では担当医、医療ソーシャルワーカー、社会保険労務士、ハローワーク職員等と協働し、多職種での支援を行っている。また、妊孕性については、がん治療の影響を考慮し、妊孕性温存治療の意思決定ができるよう生殖医療病院と連携し支援を行っている。これらの支援体制と実際について紹介する。
3.「未成年の子どもをもつがん患者・家族への支援」:緩和ケアチーム、AYAサポートチームの取り組み
国立がん研究センター中央病院 緩和ケア認定看護師 副看護師長 前原朝美
2015年の報告で当院入院患者のうち18歳未満の子どもをもつ患者の割合は24.7%で、4人に1人は子どもをもつことが明らかになった。当院緩和ケアチームでは2012年から 家族ケアの一環として未成年の子どもがいるがん患者・家族に対する支援を開始した。院内での取り組みが定着し介入家庭数は年々増加している。今回はホスピタルプレイスタッフや心理療法士と連携した多職種支援の実際、当院で使用している情報提供ツールを紹介する。