- 日時
- 2017年03月17日(金)17:30~18:30
- テーマ
- 国立がん研究センター中央病院 病理・臨床検査科の取り組み
(国立がん研究センター 中央病院発信)
司会:国立がん研究センター中央病院 病理・臨床検査科
副臨床検査技師長 内川 正弘
当センターは1962年に創設され現在に至っている。今年度の1日平均外来患者数は約1400人。近年、外来患者数及び各領域検査件数共に上昇を続けている。今回は日頃から多くの症例が集まる日常検査領域と、当センター重点課題の一つ「個々のがん患者に対しゲノム情報に基づく最適化医療の提供と整備」に関連した病理・臨床検査科の取り組みについて報告する。
1.精度保障を有する遺伝子検査室の運用と次世代シーケンサーを用いたクリニカルシーケンスの取り組み
国立がん研究センター中央病院 遺伝子検査室主任 柿島 裕樹
近年、コンパニオン診断における病理検体を用いた遺伝子検査は、今後、ゲノム医療の発展と共に保険収載の検査項目及び解析件数の増加が予想される。当検査部はISO15189による臨床検査室の認定を受けており、検査作業手順書の作成、機器の保守管理の記録、試薬妥当性の確認、温度管理など行っている。遺伝子検査における精度保証について病理FFPE標本のEGFR変異解析及びFISH法を提示しながら紹介する。
また昨年より次世代シーケンサーを用いたクリニカルシーケンスについての臨床研究が開始された。日常診療への導入に向けた取り組みについて報告する。
2.当院の尿細胞診新報告様式の現状
国立がん研究センター中央病院 病理検査室 時田 和也
当院の尿細胞診報告様式は2016年9月より、臨床細胞学会推奨の様式を採用し運用している。新報告様式では、細胞診断の標準化のために、各カテゴリーの高悪性度尿路上皮がん (HGUC)を含めた悪性リスクの算出が求められている。当院の尿細胞診報告様式の現状と、各カテゴリーの悪性リスクを算出した結果を報告する。その結果より得られた「異型細胞」カテゴリーの判定について、課題点を考察する。
3.膵をくまなく観る走査法と工夫
国立がん研究センター中央病院 生理検査室主任 中谷 穏
膵は一般的に観察が難しいため、描出困難例を増やしてしまう検査者も多いと推測する。膵周囲には消化管ガスが存在するため、体位変換や飲水法などの工夫を常に心掛ける必要がある。膵は胃の背側の後腹膜に存在し、その右側・足側は十二指腸に、左側は脾門部に接している。ちょっとした工夫や解剖が理解できていれば、膵の描出能は格段に上がると考える。今回、当生理検査室で実践している「もれなく膵を診るための10の走査方法」を紹介する。