- 日時
- 2019年08月16日(金)17:30~18:45
- テーマ
- 静岡がんセンター薬剤部の最近の取り組み
(静岡県立静岡がんセンター発信)
司会 静岡県立静岡がんセンター 薬剤長 篠 道弘
今回、病院機能評価受審の準備を含めて、当センター薬剤部の最近の取り組みについて報告する。
1.計数調剤に適した余り計算電卓使用による調剤ヒヤリハット件数の低減
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 技師 土屋 貴之
近年、カシオ計算機(株)より発売された余り計算電卓(型番:MP-12R-N)を用いると、必要なシート数と端数が一度に計算できる。調剤業務で使用する全ての電卓を余り計算電卓に切り替えた場合のヒヤリハット件数への影響を調査した。余り計算電卓導入前後10日間のヒヤリハットの件数およびRp.数に対するヒヤリハット率は、各々35件から9件(p<0.001)および0.26±0.14%から0.07±0.13%(p=0.007)にいずれも有意に減少した。また、余り計算電卓の操作は簡便であり、導入も容易であった。
2.抗がん剤調製教育カリキュラムの導入効果
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 主任 片山 宏章
がん専門病院における抗がん剤調製業務に必要な調製技術や知識を一定水準以上に保つため、教育カリキュラムのツールとして教育ラダーを作成し、新人教育に導入した。教育ラダーは抗がん剤の性状に基づき、4段階の難易度で区分する構成とした。各段階において習得すべき内容を項目別に設け、指導者は項目の達成度を毎回評価した。現在に至るまで、新人薬剤師12名中11名が教育カリキュラムを修了した。教育ラダーは高度な抗がん剤調製業務を行える薬剤師育成の一助となった。
3.医療用麻薬による事故減少を目的とした注射麻薬希釈セットオーダーの作成とその効果
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 主任 田中 怜
麻薬による事故は深刻な患者被害を及ぼす可能性があり、当センターにおいてもオーダー誤入力に起因する事故が2件報告された。そこで、モルヒネ注、オキシコドン注、フェンタニル注、ケタミン注の希釈セットオーダーを導入し、有効性を検討した。運用開始から1年後のセット利用率は36.3%となり、オーダー誤入力に起因する事故は0件に減少した。以上より、希釈セットの導入の有効性が示唆された。また、セット導入による事故もなく、無費用にて安全に運用開始できた。
4.経口抗がん剤調剤時の検査値チェックシートの作成と活用
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 主任 賀茂 佳子
注射用抗がん剤については、レジメン登録や外来および病棟担当薬剤師の介入などにより、一定の安全管理がなされているのに対し、経口抗がん剤の場合、安全管理が手薄になることが少なくない。そのため、当センターでは調剤者および監査者が経口抗がん剤の調剤時に必要な検査値を確認できるよう、安全性の観点から最低限確認すべき項目を整理し、薬剤毎にチェックシートを作成している。今回、その作成方法と活用方法について報告する。