- 日時
- 2023年08月18日(金)17:30~18:30
- テーマ
- 薬剤師のタスクシフティング実践例
(がん研究会有明病院発信)
司会 がん研究会有明病院 副薬剤部長 山田 玲子
近年、急速な医療技術の高度化、薬物療法の複雑化への対応が求められており、多職種によるチームアプローチが必要とされている。薬剤師が適切な薬剤の選択や処方設計支援などを行い、安全かつ質の高い医療の提供に貢献している実例や実績などを紹介する。
1.経口抗がん薬を対象とした薬剤師による疑義照会後の処方修正代行業務導入について
がん研究会有明病院 薬剤部 伴 修平
当院は、経口抗がん薬を院内処方箋にて応需しており、用法や休薬期間の確認といったレジメン規定の逸脱に関する疑義照会割合が多い。また、疑義照会後の処方修正に伴う患者待ち時間延長も課題である。そこで、薬剤師の専門的知見を活用し、疑義照会後の処方修正代行に関するプロトコールを医師・薬剤師協働で作成し、2022年8月より運用を開始した。今回は薬剤師が処方修正代行を行う本運用に関する内容と患者待ち時間への影響を紹介する。
2.がん薬物療法における薬剤師外来~円滑な診察へ繋ぐ診察前評価~
がん研究会有明病院 薬剤部 副島 梓
がん患者の生存期間は治療薬の開発により延長している。一方で副作用の種類は多岐に渡り、副作用の原因鑑別や支持療法薬の選択、他科へのコンサルトなど、限られた外来診察時間で医師が行う業務は多い。当院では薬剤師が外来患者に対し、医師の診察前に面談を行う薬剤師外来を展開することでタスクシフトを実施している。今回は当院における薬剤師外来のコンセプトや薬剤師外来拡大に向けた取り組みを紹介する。
3.持参薬処方と術前中止薬再開に関するPBPMの実践とその評価
がん研究会有明病院 薬剤部 橋本 幸輝
当院はがん専門病院であることから多くのがん患者を抱えており、昨年は8515件の手術を実施している。しかし、手術件数の多さは持参薬処方や術前中止薬の管理など、周術期における多くのタスクを必要とすることでもある。このような背景の中で、問題となっていたのは医師が手術や診察などで時間外にならないと処方が行えないことであった。そこで薬剤師によるタスクシフトを導入し、持参薬処方や術前中止薬の再開確認、処方代行支援を実施するPBPMを開始した。この取り組みが、医師や看護師、薬剤師の時間外業務減少と周術期の患者安全管理にどのように寄与しているかを紹介する。