- 日時
- 2017年05月19日(金)17:30~19:00
- テーマ
- 最新の放射線技術学を振り返る(日本放射線技術学会第73回総会学術大会)
(国立がん研究センター 中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 放射線診断技術室 石原 敏裕
1.超高精細CTと従来CTの比較:ルーチン検査は可能か?
国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 長澤 宏文
1画素のX線受光面積が従来CT装置(Multi Detector row CT:MDCT)の1/4となる検出器を搭載した超高精細CT(Quarter-pixel Detector CT:QDCT)は、飛躍的な空間分解能を有しているため、精査専用機と認識されやすい装置であるが、実臨床ではルーチン検査にも耐えうる必要がある。今回我々は、QDCTにおける精査とルーチン検査の両立について、ファントム実験及び臨床画像にてMDCTと比較し、 その可能性を検討したので報告する。
2.MR装置一体型放射線治療装置の動向と未来
国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 逆井 達也
近年、磁気共鳴(MR)装置が一体となった放射線治療装置が開発され、国外では臨床利用されている。MR装置が一体となることで、照射前位置照合での腫瘍認識性の向上や、照射中のMR画像取得による照射精度の向上といった利点が期待される。今回は当院が導入したViewRay社MRIdianの情報を中心に、装置導入から現状、今後について紹介する。MRIdianは治療直前の状態で計画を再最適化することが可能である。
3.EOB造影MRI肝細胞相における胆道系濃染と肝機能に関する検討
岐阜大学医学部附属病院 放射線部 梶田 公博
EOB造影MRIを用いた肝機能評価の指標として、Relative enhancement of the liverやQ-LSC等が挙げられるが、慢性肝障害や肝機能障害を有する患者では肝細胞造影相における胆道系への造影剤排泄が減少するとの報告も散見される。そこで肝障害が疑われた139例を対象に、肝細胞造影相のSignal intensity ratio(左右肝管、総肝管、胆嚢管、総胆管/脊柱起立筋信号)を算出し、child-pugh 分類、MELDscore、APRIとの相関について、定量的及び定性的な検討を行った。
4.体軸方向の解像度変化を考慮した信号雑音比による逐次近似応用再構成の評価
宮城県立がんセンター 診療放射線技術部 後藤 光範
CTの画質評価には信号雑音比(SNR)がしばしば用いられる。SNRは画像の情報量を評価する指標であるが、体軸方向解像度(以下SSP)は考慮されない。近年、フィルタ補正逆投映(FBP)と逐次近似応用(以下IR応用)再構成の画像特性をSNRにて評価した報告を散見する。しかしIR応用法はSSPの変化が指摘されている。本検討は、解像力特性とNPSを面内と体軸方向に分け、体軸方向に補正したSNRを考案し、IR応用画像の評価を試みたものである。
5.Split Filter方式Dual Energy CTを用いた仮想単色X線画像における基礎的検討
国立病院機構九州がんセンター 診療放射線技術部 南出 哲也
昨年、当院にSIEMENS社製CT装置 SOMATOM Definition Edgeが導入された。本装置はSingle-Sourceから照射される1本のX線束をスズ(Sn)と金(Au)のSplit Filterを用いてLow Energy側とHigh Energy側の2種類のEnergy Spectrumに分割することにより、同時に異なるDual energy CT(DECT)画像データを取得することが可能である。このデータから様々なEnergy Levelの仮想単色X線画像(Virtual Monoenergetic Image: VMI)が作成でき、Contrastの向上やMetal Artifactの低減などが期待される。
一方、VMIを臨床応用するためには基礎研究を行うことが重要であるが、その報告は少ない。そこで今回、Split Filter方式DECTによるVMIの物理特性について評価した。
6.Dynamic MRIにおける乳腺腫瘍の組織型分類
国立病院機構九州がんセンター 診療放射線技術部 宮嵜 義章
【目的】乳がんの80%を占める浸潤性乳管がん(硬がん、充実腺管がん、乳頭腺管がん)の時間信号強度曲線(TIC)から組織型の鑑別診断を行なう。【方法】Dynamic MRI (pre、1min、2min、6min)を施行した浸潤性乳管がんを用いて、TICから時間軸-信号強度間の傾き(θ1:pre-1min、θ2:1min-2min、θ3:pre-2min、θ4:2min-6min)を自動解析するCADプログラムを作成し、組織型毎のTIC特徴量を求める。【結果】TIC特徴として硬がんはθ1 < θ3 < θ2、乳頭腺管がんはθ1≒θ2≒θ3、充実腺管がんは、θ2 < θ3 < θ1の傾向があった。