- 日時
- 2018年05月18日(金)17:30~19:00
- テーマ
- 最新の放射線技術学を振り返る(日本放射線技術学会第74回総会学術大会)
(国立がん研究センター 中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 放射線診断技術室 石原 敏裕
1.診療放射線技師向けの読影教育システムの開発~がん症例編~
国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 池野 直哉
平成22年4月30日に厚生労働省医政局長通知により、診療放射線技師による読影補助が推進され昨今では各種勉強会でも多く取り上げられている。しかしながら、読影に関する知識と経験を積むためには質の高い多くの症例を実際に観察するトレーニングを積むことが重要である。本研究では、「がん」に対しての症例画像を収集し、モバイル環境下でも学習可能な読影教育システムを開発したので報告する。
2.パラレルイメージング・圧縮センシング併用肝細胞相撮像と従来法の比較検討
岐阜大学医学部附属病院 放射線部 梶田 公博
昨今の技術革新により、パラレルイメージングと圧縮センシングを併用した高速撮像法(CS-eTHRIVE)が臨床において使用可能となった。しかし、Regular及およびRandomなアンダーサンプリングを行うCS-eTHRIVEは、大幅な高速化を達成する一方で画質やSNRの低下が懸念される。そこで今回われわれはCS-eTHRIVEを用いたGd-EOB-DTPA造影肝細胞相像を従来のeTHRIVE像と比較検討したため報告する。
3.血管塞栓術時におけるParametric Imagingの有用性
愛知県がんセンター中央病院 放射線診断・IVR部 浅井 翼
球状塞栓物質を使用した血管塞栓術はリピオドールを使用しないため、透視やCT画像で塞栓状況を把握することは困難である。塞栓状況を把握することを目的として、Parametric Imaging(PI)を用いて血流状態を評価した。塞栓前後でPIの色は血流が早いことを示す暖色から遅いことを示す寒色に変化し、PIは塞栓後の血流低下を色彩変化として視覚化した。これにより塞栓状況の把握が容易になり、PIは塞栓のエンドポイントの判定に有用な手法であると考えられた。
4.Evaluation of Image Quality Using a Phantom for Digital Breast Tomosynthesis
静岡県立静岡がんセンター 画像診断科 伊東 孝宏
DBTに関する性能評価班では品質管理項目の確立を目指している。同一のファントムTomophanTSP004を使用し国内の装置で、品質管理が可能であるか検討した。すべての装置で評価は可能であった。本研究は画像処理条件を適用した画像で評価したため結果については比較することは出来ない。このファントムでの画像評価は可能であったが品質管理が可能という結論までは至らなかった。この結果を踏まえて、DBTにおける最適な品質管理項目の確立を目指していく。
5.Utility of a tailor-made bolus made with 3D printer and transparent soft material for total scalp irradiation.
静岡県立静岡がんセンター 放射線・陽子線治療センター 村松 典明
市販の平板状ボーラスを、凹凸部位や頭皮等曲面部分に完全密着させることは難しい。全頭皮照射において、今回新たに開発した透明で軟らかい素材を用いて3Dプリンタで作成したオーダーメイドボーラスと従来の平板状ボーラスと比較し有用性を検討した。2つのボーラスの各密着度と全頭皮照射の各線量分布を評価した。また、ボーラス完成までの経緯および製品拡販化の展望についても解説する。
6.超高精細CTにおける再構成matrix数と逐次近似再構成による解像特性の検証
国立がん研究センター中央病院 放射線技術部 石原 敏裕
超高精細CTは検出器列幅の狭小化に加えてmatrix数の増加に伴うpixel sizeの極小化も高解像度な画像を取得できる由縁となっている。しかし、解像特性は再構成関数など種々の要因に影響されることが既知である。さらに、逐次近似再構成による非線形挙動も解像特性に影響する。本研究は再構成matrix数・逐次近似応用再構成・逐次近似再構成による解像特性の検証を行ったので報告する。