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【放射線診療技師向け】 2025年

多地点放射線カンファレンス[2024年度-第3回]

静岡県立静岡がんセンター 発信
司会 静岡県立静岡がんセンター 画像診断室 副技師長 廣澤 賢一

今回発信を担当します、静岡県立静岡がんセンターです。今回の多地点放射線カンファレンスでは、当院で行っている研究について報告いたします。「第1回日本放射線医療技術学術大会」で報告したCT・MRI・放射線治療の内容をさらに充実させた発表と、「第16回中部放射線医療技術学術大会」で報告した放射線治療シミュレーションCTの患者被ばく線量管理についての発表をご紹介させていただきます。

1.肺血栓塞栓症における造影剤低速注入下低管電圧撮像の有用性

静岡県立静岡がんセンター 画像診断室 主査 滝口 京佑

近年、肺血栓塞栓症(PTE)の診断はCTが第一選択となり肺血管造影(CTPA)の撮影が有効である。一般的にCTPAの撮影には造影剤の高速注入が必要であるが、がん患者の多くは化学療法を繰り返すため末梢血管は脆弱となり高速注入はリスクを伴う。そこで我々はPTE診断における造影剤の低速注入法を提案した。本研究では低管電圧撮影を用いた造影剤低速注入法について高速注入法と比較したので報告する。

2.脳拡散強調画像から得られる見かけの拡散係数:撮像シーケンスの違いによる影響

静岡県立静岡がんセンター 画像診断室 主査 吉田 司

異なる撮像シーケンスで収集された脳拡散強調画像のADCを比較することを目的とし、2020年10月~2023年3月にEPI法とTSE法で撮像された68名(61.9±13.9歳)の対象に対し、b値0および1000 s/mm²で撮像。作成したADCマップで中脳、小脳白質、視床、大脳白質にROIを設定し、平均ADCを比較、ブランドアルトマンプロットで誤差を評価した。
結果:TSE法のADCはEPI法に比べ低く、中脳で最大の系統的誤差(-0.02×10⁻³mm²/s)を示した。
結論:TSE法のADCはEPI法と軽微な系統的誤差を示し、一致度は良好であった。

3.ヘリカル式4DCTにおける呼吸周期変動に対する堅牢性

静岡県立静岡がんセンター 放射線・陽子線治療室 専門主査 富田 哲也

4DCTはターゲットの呼吸性移動量評価に有用であるが、撮影中に呼吸周期が延長すると画像欠損が生じる。本検討の目的は、ヘリカル式4DCTにおいて、呼吸周期延長の程度と画像欠損発生の関係を明らかにすることである。撮影前のパラメータ設定とは異なる呼吸周期の動体を4DCTで撮影し、画像欠損のない最大呼吸周期を得た。さらに、画像欠損割合を堅牢性として評価した。呼吸周期が設定値の1.5倍まで延長しても、画像欠損なく撮影可能であった。

4.線量管理ソフトを用いた放射線治療シミュレーションCTの患者被ばく線量管理システムの構築と線量調査

静岡県立静岡がんセンター 放射線陽子線治療室 主任 鈴木 優太

線量管理ソフトを用いて、放射線治療シミュレーションCTの患者被ばく線量管理システムを構築し、線量調査を行った。主要部位の撮影線量はDRLs2020と大きな差はなかった。検査当たりの撮影線量(脳定位、頭頸部IMRT、肺定位、乳房術後照射、前立腺IMRT)においては、先行論文と比較し肺定位照射、乳房温存術後照射のDLPにて高値を示した。線量管理ソフトを使用することで、被ばく線量を簡便に管理することが可能となった。

更新・確認日:2024年01月10日 [ 履歴 ]
履歴
2024年01月10日 抄録を更新しました。
2024年11月29日 抄録を掲載しました。
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