- 日時
- 2025年09月19日(金)17:30~18:30
- テーマ
- 診療放射線技師のための教育システム-骨腫瘍編-
国立がん研究センター東病院 発信
企画・司会:国立がん研究センター東病院 放射線技術部 副放射線診断技術室長 梶原宏則
国立がんセンター東病院放射線技術部では、各種がんの概要、がんの診断から治療に至る過程、各モダリティの役割や研究が進められている技術等、放射線技術学を横断的に学習可能なシステムStandardized Information System as Helpful Assistance for Modalities and Oncology(SISHAMO)システムを現在構築中です。本システムの構築により、継続的な若手スタッフの教育に活用する取り組みを行っています。今回は本システムの骨腫瘍の内容について、当院の若手技師からご紹介します。
1.骨腫瘍概論
放射線技術部 放射線診断技術室 佐藤 渓
骨腫瘍は主に原発性と転移性に分けられます。原発性骨腫瘍の発生頻度は非常に稀であり全腫瘍の0.2%程度です。その中でも骨肉腫が最も多く、若年層での発生頻度が高いです。転移性骨腫瘍は肺がんや乳がん、腎がんからの転移が多く高齢者で発生頻度が高いです。診断には、X線撮影等の画像検査や生検が行われます。治療は手術が中心で、放射線治療や薬物療法も行われます。本項では骨腫瘍の概論について解説します。
2.核医学検査
放射線技術部 放射線診断技術室 重永 淳平
骨腫瘍に対する核医学検査は、病変の局在・広がり・活動性を全身的に評価できることから、初期診断から経過観察まで重要な役割を担っています。当院では、転移性骨腫瘍の評価に骨シンチグラフィを行い、骨シンチ画像解析プログラムによる定量解析を導入し、読影の客観性の向上を図っています。必要に応じてSPECT/CTを併用し、集積の有無や部位、形態的特徴との対応関係を把握しています。本項では、骨腫瘍に対する骨シンチグラフィの撮像方法等について概説します。
3.放射線治療
放射線技術部 放射線診断技術室 廣瀧 康太
骨腫瘍に対する放射線治療は、手術困難例への根治的照射や不完全切除後の術後照射などを中心に重要な役割を担っています。骨腫瘍は放射線抵抗性で根治は困難とされてきましたが、陽子線・重粒子線の高線量集中照射による優れた臨床成績が報告されています。小児症例や脊索腫・軟骨肉腫では機能温存や局所制御に有用で、当院においても積極的な陽子線治療が実施されています。本項では、ガイドラインを中心に骨腫瘍に対する放射線治療のエビデンスについて概説します。
4.IVR
放射線技術部 放射線診断技術室 宮本 雄介
骨腫瘍に対するIVR(画像下治療)は、手術困難例や疼痛緩和を目的とした低侵襲治療に加え、確定診断のための生検にも用いられています。当院ではRFA(経皮的ラジオ波焼灼術)、動脈塞栓術、骨生検が主に行われており、いずれも画像誘導下での高精度な手技が求められます。これらを支えるには、診療放射線技師による画像操作や線量管理などの専門的支援が不可欠です。本項では、当院における代表的手技と診療放射線技師の役割について概説します。
5.教育システム(SISHAMO)の活用方法と今後の展望
放射線技術部 放射線診断技術室 金井 祐弥
当院では若手技師教育を目的としたStandardized Information System as Helpful Assistance for Modalities and Oncology (以下、SISHAMO)とういうシステムを現在構築中です。本システムは各種のがんに対する放射線技術関連情報がデジタルテキスト化されています。本システムの活用方法として、作成された資料を読んで学習するだけでなく、若手技師を対象に理解度チェックも実施しています。本項では、SISHAMOシステムの活用方法、今後の展望について説明します。