- 日時
- 2024年05月17日(金)17:30~18:30
- テーマ
- 放射線技術研究topic 2024
(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院
放射線技術部 放射線診断技術室 副放射線診断技術室長
瓜倉 厚志
放射線技術研究は,多くの画像診断や放射線治療に関わるモダリティを通じて医療に貢献する.近年ではartificial intelligenceを利用した研究等も活発に行われている.今回の多地点放射線カンファレンスでは,MRI,CT,放射線治療に関する研究をピックアップして発表をしていただく.聴講者の理解を深めるため,学会発表よりも時間に余裕をもってプログラムを組んだ.参加者の皆様の活発な議論を期待する.
1.MRT装置性能評価における半自動的解析ソフトウェアの開発
石川県立中央病院 医療技術部 放射線室 豊原 勇理
MRI撮像技術の進展にともない,MRI装置のQA・QCの重要性は高まりつつある.しかし,MRI性能評価には煩雑な手順が含まれ,臨床現場においては人的・時間的な負荷が大きい.よって,本研究ではMRI装置性能評価における半自動的解析ソフトウェアを自作し,その解析精度及び時間短縮効果を検証した.開発ソフトウェアの解析精度は実用レベルに達しており,解析に要する時間は大幅に短縮された.
2.深層学習を用いた術前造影 CT 画像における浸潤性乳管癌の再発予測
新潟県立がんセンター新潟病院 中央放射線部 梅津 愛
がんが術後に再発するか否かを術前に予測できれば,患者のQOL向上や,不安感の軽減に貢献できる.また,経過観察の規模縮小による医療費の軽減につながる.本研究では,浸潤性乳管癌患者の術前造影CT画像を再発群と無再発群に自動分類することを目的とした.症例数は138症例で,Resnet-101,Densnet-201による転移学習を行った.
分類精度は最大で73%となった.術後に乳癌が再発するか否かを術前に予測するシステムの開発の可能性が示された.
3.左乳房深吸気息止め照射における in vivo dosimetry によるセットアップエラー検出基準の決定
大阪国際がんセンター 放射線腫瘍科 森谷 真依
【目的】左乳房に対する深吸気放射線治療 (DIBH) は,心臓線量を下げるために有用であるが,照射時のセットアップエラー(SE)が懸念される.本研究の目的はEPIDによるインビボドジメトリー(IVD) において3mm以上のSE検出の基準を決定することである.
【方法】対象患者15名に対し,照射中EPIDにより各FieldにてIntegrated imagesを取得して,SE(3次元ベクトル)と,PerFRACTIONによるガンマ解析を測定した.
【結果】3%2mmや2%3mmでは3%3mm,4%3mm,3%4mmと比べて大きくパス率が低下していた.
【結論】SE検出の指標は3~4%/3~4mmと考えられた
4.厚生労働省医療施設静態調査の解析に基づく外部放射線治療施設の動向と分布
愛知県がんセンター 放射線治療部 青山 貴洋
厚生労働省の医療施設静態調査から,国内の外部放射線治療の施設数と放射線治療関連装置の台数を算出して,病床数ごと・都道府県ごとに解析をした.過去24年の調査データを解析することで,放射線治療の実施状況,装置の整備状況に関する詳細な情報を得ることができ,自国の医療資源の動向を明らかにすることができた.これらの知見が,治療技術の標準化や最適な医療資源の配分など,今後の放射線治療の発展に貢献できることを期待する.