- 日時
- 2024年09月20日(金)17:30~18:30
- テーマ
- 診療放射線技師のための教育システム‐胃編‐
国立がん研究センター東病院 発信
司会 国立がん研究センター東病院 放射線技術部 副放射線診断技術室長 梶原 宏則
国立がんセンター東病院放射線技術部では、各種がんの概要、がんの診断から治療に至る過程、各モダリティの役割や研究が進められている技術等、放射線技術学を横断的に学習可能なシステムStandardized Information System as Helpful Assistance for Modalities and Oncology(SISHAMO)システムを現在構築中である。本システムの構築により、継続的な若手スタッフの教育に活用する取り組みを行っている。今回は本システムの胃がんの内容について当院の若手技師からご紹介させていただく。
1.概論
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線治療技術室 水沼 侑希
近年、日本では胃がんの罹患率、死亡率ともに減少傾向である。日本の胃がんの多くはH. Pylori菌感染が主要因であり、感染すると胃がんの発症リスクが高くなる。がんの組織型は腺がんが90%以上を占めている。病変の有無や場所・深達度を調べるために、内視鏡検査や超音波内視鏡検査、硫酸バリウムを用いたX線検査が行われる。また、進行度の診断には造影CT検査や造影MRI検査、PET検査などの画像診断が行われる。治療は、内視鏡治療と手術が中心であり、必要に応じて薬物療法が行われる。
2.X線透視検査
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線治療技術室 宮崎 紘樹
近年、上部消化管疾患における診断方法は、内視鏡機器の細径化や経鼻内視鏡の普及などにより、内視鏡検査が主流となる。当院では、内視鏡検査により食道胃接合部がんと診断された症例の術前精査として硫酸バリウムを用いた上部消化管X線透視検査が施行されている。この検査は、病変の全体像の把握、肉眼型分類や浸潤範囲及び深達度診断に用いられ、治療方針や術式決定に有用である。
3.CT検査
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線治療技術室 持永 紗枝子
胃がんのCT検査の役割には、腫瘍や周囲浸潤の評価およびリンパ節転移や遠隔転移などの他病変検索があげられる。術前精査では、発泡剤の経口投与とDynamic CT撮像が行われる。発泡剤を用いることで胃壁を伸展させた状態での評価が可能となり、隆起性病変や壁肥厚の描出に有用である。また、Dynamic CT撮像は、腫瘍とその周辺血管の走行の把握に寄与する。
4.放射線治療
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線治療技術室 鹿野 和仁
胃がんに対する放射線治療は、世界的には標準的な根治治療に用いられているが、わが国のガイドラインに記載があるのは転移例のみであり、一般的に放射線治療が選択される機会の多くは緩和症例である。当院では、胃がんの止血目的症例、節性リンパ種(MALTリンパ腫)のH. Pylori除菌治療後のリンパ種遺残例、H. Pylori陰性例に対して放射線治療を行っている。
5.教育システム(SISHAMO)の活用方法
国立がん研究センター東病院 放射線技術部 放射線治療技術室 大野 里沙
当院では若手技師の教育を目的としたSISHAMOというシステムを現在構築中である。本システムは各がん種に対する放射線技術をデジタルテキスト化したものである。昨年度本システムで作成した膵がんに関する資料を用いて技師歴3年以下の若手技師10名を対象に、膵がんに対する放射線技術についての理解度テストを実施した。本発表では、SISHAMOシステムの活用事例等について説明する。