概要
令和元年7月10日、国立がん研究センターが主催する第12回都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会が国立がん研究センター研究棟1階 大会議室で開催された(議事次第)。全国の都道府県がん診療連携拠点病院の施設の代表者と、各都道府県のがん対策関連部署の職員等が参加した。
開会にあたり、国立がん研究センターの中釜斉理事長より「がん患者さんに対して実施、提供していかなければいけないものが次々と変化している状況で、がんゲノム医療という新しい医療を取り込んでいく際も、臨床研究に関する試み、がん登録、情報提供、相談支援といったさまざまな視点で、がん診療連携拠点病院の役割を改めて認識し、情報共有することによって、よりよい質の高い医療、安全な医療を提供できるようにつとめさせていただきたい」との挨拶があった。
来賓として、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の丸山慧がん対策推進官より、「平成30年7月の成人と小児がん拠点の整備指針の見直しを踏まえて、今年4月に新たな成人と小児がん拠点病院を指定した。また、がんゲノムの拠点病院の整備指針を間もなく発出し、募集を開始するところである。皆様には今後のがん対策推進充実に向けてご協力を賜りたい」とのご挨拶をいただいた。
議事について、まず、厚生労働省からのお知らせとして、成人の拠点病院については、平成30年7月に見直された整備指針の見直しのポイント、指定の方針や経過措置などについて、小児がん拠点病院については、見直しの要件や指定の状況、連携病院の指定などについて説明があった。がんゲノムの拠点病院については、今年6月に遺伝子パネル検査が保険収載されたことを踏まえて、がんゲノム医療拠点病院の類型の新設、その要件や審査指定までの流れなどについて説明があった(資料1)。
次に、臨床研究部会から、部会立ち上げ時の医療イノベーションに関する事業が終了したこと、これまで拠点病院における臨床研究の基盤整備と指定要件追加を要望してきたが反映されなかったこと、今後も拠点病院における治験コーディネーターの配置や基盤整備に関して財政的な措置や制度的な根拠があまり期待できないこと、臨床研究の中心的な役割を担う場が臨床研究中核病院やゲノム医療中核拠点病院に移りつつあることなどから、臨床研究部会の廃止が提案され、承認された(資料2)。
また、がん薬物療法に関しては、各都道府県でさまざまな取り組みが進んできているが、都道府県間、地域間、施設間で格差があるため、薬物療法に関する各都道府県の好事例について情報共有し、取り組みについての意見交換や課題解決に向けての政策提言をすること、薬物療法の専門家を育成し均てん化を図ることなどを目的として、がん薬物療法に関する部会の設置が提案された(資料3)(資料3-2)。この提案に対し、具体的な目的や計画が明確でないという意見を踏まえ、がん薬物療法部会の設置に向けた準備委員会のようなものを設けて、地域格差の解消やがん薬物専門医の増加など具体的な計画や方策を検討した上で、改めて本協議会に提示し、関係者のご意見を伺うこととなった。
その後、がん登録部会(資料4)、情報提供・相談支援部会(資料5)、緩和ケア部会(資料6)より、それぞれ活動報告があった。
また、都道府県がん診療連携協議会の取り組みについて、まず事務局から、事前アンケートの結果の概要について説明し、四国がんセンター統括診療部長の橋根勝義先生から、愛媛県がん診療連携協議会の活動(資料7)についてご発表いただいた。愛媛県がん診療連携協議会の特徴や課題、各専門部会や2018年度に新しくできたPDCA部会の取り組みについてご紹介いただいた。
続いて、秋田県がん診療連携協議会の取り組みについて、秋田大学医学部附属病院の本山悟教授から、秋田県の取り組み(資料8)についてご発表いただいた。第3期がん対策推進計画の作成や拠点病院に対するアンケートの実施、相互訪問チェックなどにおいて、がん診療連携協議会と県がどのように連携して取り組んだのか、また県内のがん治療実績の共有と公表、県全体のデータの提示など、協議会の具体的な取り組みについてご紹介いただいた。
その後、都道府県がん診療連携拠点病院からの事前アンケートの結果(資料9,参考資料2)として、都道府県がん診療連携拠点病院の指定要件の充足状況、希少がんの相談体制や都道府県レベルでのがん診療の質の向上を目指したPDCAサイクル確保の取り組み、都道府県内のがん医療に携わる医療者の研修・人材育成などについて、事務局から説明を行った。
患者の立場で参加しているオブザーバーの方々からは、これからゲノム医療に向かい、希少がんやAYAや小児がんに対しての対策が進んでいくのを期待している一方で、それが本当に患者・家族に届くためには、病院を越えて連携し、窓口を周知してほしい。また、拠点病院にはスピード感を持ってがん診療の連携と均てん化に取り組み、小児がん・AYAのサポートにもお力をいただきたいというご意見をいただいた。
最後に、国立がん研究センターの中釜斉理事長より閉会の挨拶があり、本会の幕を閉じた。
資料
第12回 都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会 次第
日時 令和元年7月10日(水) 13:00-16:00
於 国立がん研究センター研究棟1階 大会議室
主催 国立がん研究センター
Ⅰ.開会挨拶
国立がん研究センター理事長 中釜 斉
Ⅱ.来賓挨拶
厚生労働省 健康局がん・疾病対策課 丸山 慧 がん対策推進官
Ⅲ.議事
1. 厚生労働省からのお知らせ
2. 臨床研究部会からの報告
3. がん薬物療法部会の設置について
4. がん登録部会からの報告
5. 情報提供・相談支援部会からの報告
6. 緩和ケア部会からの報告
7. 愛媛県がん診療連携協議会の活動
四国がんセンター 統括診療部長 橋根 勝義
8. 秋田県がん診療連携協議会の取り組みについて
秋田大学大学院医学系研究科医学専攻・腫瘍制御医学系・地域がん医療学講座教授
秋田大学医学部附属病院・食道外科医長、腫瘍情報センター長 本山 悟
9. 事前アンケートの結果について
10. 全体討議
Ⅳ.閉会
参考資料
- 第12回都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会事前アンケート 参考資料1
- 事前アンケート結果Ⅰ-1 参考資料2
- 事前アンケート結果Ⅰ-2 参考資料3
- 事前アンケート結果Ⅰ-3、Ⅰ-4 参考資料4
- 事前アンケート結果Ⅱ 参考資料5 更新日:2019年11月13日
- 事前アンケート結果Ⅲ 参考資料6