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鹿児島県のがん診療におけるPDCAサイクルの取り組み
鹿児島県がん診療連携協議会関係者インタビュー

鹿児島大学病院緩和医療部門

鹿児島大学病院 緩和ケアセンター ジェネラルマネージャー 
がん看護専門看護師・がん性疼痛看護認定看護師 落合美智子 (取材日:2016年12月14日)


——県全体でどういうことを目指しているのか、または、取り組んでいるのかについて教えていただけますでしょうか?

鹿児島県では、緩和医療の部門会ができ4年ほどたちますが、これまで3つのグループに分かれて活動して参りました。苦痛のスクリーニングを推進するグループ、事例検討グループ、それから緩和ケア研修会グループの3つです。


——各グループの活動内容についてご教示いただけますでしょうか?

まず、苦痛のスクリーニンググループは、2年ほど前から県下統一のシート(質問票)の作成に取り組み、現在、シートの作成が終了し、本年度で活動は終了しています。

事例検討グループは、4~5年前に緩和ケアチームの研究会ができていましたので、その研究会の取り組みを継続する形で、部門会の活動のひとつとして行っています。年に2~4回ほど、事例検討会と講演会をセットで行っています。事例検討会では、参加者同士での事例に関する議論に加え、外部講師に検討内容に関する知識の補強を兼ねた解説と講演会を依頼し、緩和ケアに関するディスカッションと最新の知識を得る場としています。
これに加え、昨年からは、多施設での事例検討会を少なくとも2カ月に1回開催しています。事例を提供する施設は鹿児島市内の拠点病院だけなのですが、鹿児島大学病院が主催ないしは共催という形で持ち回り制をとっています。例えば検討会の案内や名簿管理などは鹿児島大学病院が行い、会場はそれぞれの施設が提供する形です。

緩和ケア研修会グループは、PEACE研修会の開催と県の中で月が重ならないように開催できるよう日程の確認や講師の相談を行っています。また、研修修了生がどのように自分の施設で研修内容を生かしているかについて、フォローアップアンケート調査も行っています。


——お話しいただいた取り組み内では、県全体の話し合いをされることもあるのでしょうか?

多施設カンファレンスや部門会の中で話し合う場が設けられています。
まだ具体的な施策までは落とし込めていませんが、県内の緩和ケアセンターの設置は鹿児島大学のみですので、主体的な動きを求められていると感じています。

また、2次医療圏——北薩地域および離島地域——には拠点病院がなく、指定病院しかありませんが、その地域へのアプローチがうまくできていないのが現状です。したがって、現状としては、拠点病院の緩和ケア担当者との連絡や意思疎通を進めている段階ではありますが、近くの2次医療圏の拠点病院と協力のうえ、大学も支援をする形で進めていきたいと思っています。


——緩和ケアに関し、自分の病院内、2次医療圏、そして県全体と、さまざまな立場で見回すことが求められていると思います。それぞれに課題がある中で、今後行っていきたい取り組みはありますでしょうか?

鹿児島大学病院は緩和ケアチーム実地研修の施設に選ばれたのですが、応募が来るまでには至っていません。カンファレンスの見学などでは何件かいただいておりますが・・・。
鹿児島県内において緩和ケア診療加算の算定を行っている施設は、鹿児島大学病院を含め2カ所です。他の拠点病院のチームは、看護師以外はすべて兼任の方で構成されています。その実情も考慮しながら、実地研修の実施や必要なスキルアップの研修会などを企画していきたいと思います。一方で、在宅の先生などから困りごとのご相談を電話でいただくこともありますので、がん拠点病院以外の施設や在宅医・訪問看護師との連携も欠かせません。そういう相談窓口としての存在をもう少しオープンにしていきたいと思います。また、ピアレビューと呼べるかどうかわかりませんが、当院に気軽に足を運んでいただくことはもちろん、われわれが現地に行くことも必要だと考えています。相手方の困りごとがすぐに検討可能なうえ、自分たちの刺激にもなると思います。


——なるほど。実際に足を運ぶこと、事例検討会を定期的にやっていくことで各施設の取り組みが具体的にみえてくるかと思いますので、それも一種のピアレビューだと思います。そのようにいくつかのチャネルでお互いの診療の質を高める取り組みをされている点、素晴らしいと思いました。

地域によっては2次医療圏にある地域がん拠点病院が中心となって、その地域における緩和ケアの取り組みを進めていたりもしますので、それぞれの地域拠点病院がやっていることをこちらがしっかり把握するだけでも違ってくるのではないかと思っています。


——改めて、鹿児島県ではみなさんがディスカッションしやすい環境をつくって進めていらっしゃることが改めてわかったように思います。

鹿児島の場合は、スピード重視でトップダウン的に進めていくというよりも、自由に皆で合意形成を図りながら進めていく傾向が強いのかもしれないと思います。

更新・確認日:2017年04月19日 [ 履歴 ]
履歴
2017年04月19日 掲載しました。
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