平成19年に策定された「第1期 がん対策推進基本計画」において、「重点的に取り組むべき課題」の1つとして緩和ケアが定められ、その推進が図られてきました。このたび閣議決定された「第2期 がん対策推進基本計画」では緩和ケアについて、これまでの「治療の初期段階からの緩和ケアの実施」から、「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」へと改められ、引き続き「重点的に取り組むべき課題」として位置付けられました。今後、がんと診断された時から、患者さんとご家族が包括的な緩和ケアを受けることができる体制を充実させていくことが求められています。
緩和ケアを推進していくための重要な施策として、平成20年よりがん診療に携わる全ての医師が緩和ケアについての基本的な知識を習得し、全国で適切に緩和ケアが提供されることを目的に、「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会」が実施されてきました。「第2期 がん対策推進基本計画」では、「3年以内にこれまでの緩和ケアの研修体制を見直し、5年以内にがん診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアを理解し、知識と技術を習得することを目標とする。特に拠点病院では、自施設のがん診療に携わる全ての医師が緩和ケア研修を修了することを目標とする」と定められました。
今後、緩和ケアが「がんと診断された時から」と変更された意義を踏まえながら、研修会の担い手であるがん診療連携拠点病院における研修会開催の実情を加味した緩和ケア研修体制の見直しが行なわれるよう、本連絡協議会として厚生労働省に、以下の内容の提案書を提出いたしました。
- 研修内容について、「がん対策推進基本計画」において、緩和ケアが「がんと診断された時から」と変更された意義を踏まえ、全人的な緩和ケアの理念を伝える研修内容とすること。
- 2日間の研修会は、受講者と主催者の負担となっている。研修会の講義部分についてはeラーニングで代用することが可能であるため、eラーニングを導入し、効率的な研修会の運営ができるようにすること。
- 地域によって受講対象医師の多くが受講済みであること、指導者を十分に確保できないこと等の実情がある。効率的な研修を行うため複数のがん診療連携拠点病院が共同で研修会を開催できるようにするなど、地域の状況に応じた柔軟な対応を可能とすること。
- すべての医師が緩和ケアの重要性を理解するために、初期臨床研修において緩和ケア研修会への参加を推奨すること。
- 緩和ケアにおけるチーム医療を進めていく観点から、医師以外のメディカルスタッフも必要な緩和ケアに関する知識や技術を習得できる体制を構築していくこと。
今後も本連絡協議会では、がん対策がより一層推進していくよう、がん医療の担い手として、政府に対し現場からの政策提言をしてまいります。