平成28年1月15日、第2回小児がん中央機関アドバイザリーボードが国立成育医療研究センターにて開催され、小児がん中央機関アドバイザリーボード委員、厚生労働省健康局がん・疾病対策課、小児がん中央機関が参加した(出席者名簿)。
開会にあたり、国立がん研究センターの堀田知光理事長、国立成育医療研究センターの賀藤均病院長より挨拶があった。
また、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課の秋月玲子がん対策推進官より挨拶があった。
小児がん拠点病院のあり方と中央機関の役割
松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)から資料の説明が行われ、中央機関の役割と現状、今年度の活動について報告がされた。(資料1)
意見は以下のとおりである。
- 集約化は全国的にも同様に進んでいるのか、他ブロックでの患者の動向を確認する必要がある。特に固形腫瘍・脳腫瘍については小児外科医・脳神経外科医との連携をとりつつ情報交換を進めることが重要である。
- 東京都で小児がん早期発見のパンフレットを作成しているので、全国展開し、一次医療圏への周知を進めることが望まれる。
- 小児がん対策の担当者を担当者・窓口がない都道府県もあるとのことであり、対応を求めていく必要がある。
- 拠点病院として、どのようなことを目標にして、どのようなアクションプランを練っているのか、より明確にして今後取り組むべきである。
小児がん中央機関の行うべき業務
相談・支援について
鈴木彩医療社会事業専門員(国立成育医療研究センター)から資料の説明が行われ、相談支援事業の活動報告と来年度の計画について報告された。(資料2)
意見は以下のとおりである。
- 学校の情報についての共有を積極的に進めるべきである。
- 相談支援員の充実は継続していっていただきたい。
- AYA世代への相談支援センターの対応や、ピアサポート、小児がん経験者との連携についても積極的に取り組んでいくことが望ましい。
- 看護師と相談支援センターとの連携も強化していただきたい。
情報提供について
若尾文彦センター長(国立がん研究センターがん対策情報センター)から資料の説明が行われ、国立がん研究センターでの情報提供事業について報告された。(資料3)
意見は以下のとおりである。
- 症例数の少ない疾患の登録情報に関するマスキングの必要性については検討が必要である。
- 症例数が極めて少ない施設では、トータルケアが不十分なことが懸念され、背景にある理由の調査が望ましい。
- 小児がんの定義を明確にする必要がある。今後は18歳以下で統一して行う予定である。
診断支援について
清河信敬部長(国立成育医療センター小児血液・腫瘍部)、宮嵜治医長(国立成育医療センター放射線診療部)、義岡孝子部長(国立成育医療センター病理診断部・病理診断科)から資料の説明が行われ、診断支援の進捗について報告がされた(資料4-1、資料4-2)
人材育成について
寺島慶太医長(国立成育医療研究センター小児がんセンター脳神経腫瘍科)、野坂俊介部長(国立成育医療研究センター放射線診療部)から資料の説明が行われ、人材育成について報告された。(資料5-1、資料5-2)
研究支援と小児がん登録について
瀧本哲也室長(国立成育医療研究センター登録データ管理室)から資料の説明が行われ、登録事業の進捗の今後の計画について報告された。(資料6 )
意見は以下のとおりである。
- JCOGのように、小児がん経験者を部会にいれていくことを検討してほしい。
- 小児がんの登録体制整備の進捗が滞っているが、継続性のある資金の確保や、項目の整理を進めることで、加速させなければならない。
- 母子手帳の情報を利用する動きなど、違う分野を参考にして効率的に進めるべきである。
- 作業者の手間を減らして効率的に登録を行うことは重要であるが、院内がん登録と臨床試験登録、学会登録などの意義を混同せずに進めなければならない。
- がん登録は法律で整備されるが、必要最小限の情報であるために、どのように利用するのか、そのうえで小児がんの登録事業をどのように進めるかを考えることが重要である。
- 治療内容を把握することが目的なのか、長期フォローアップが目的なのか、中央機関で行う小児がん登録事業の目的を明確にして取り組んでほしい。
- 長期フォローアップには、本人の同意をどのように扱うのかも議論が必要である。
総合討論
- 検体の集約化をさらに進めていくことが望まれる。
- 看護の分野での事業の進捗について、課題を含めて提示をしていただきたい。