- 日時
- 2025年01月23日(木)17:30~18:30
- テーマ
- サルコーマ診療の未来はどのようになっていくのか
神奈川県立がんセンター 発信
神奈川県立がんセンター 副院長 大島 貴
近年の医学研究の進展により、サルコーマの診療方法は目覚ましく進化しています。特に、分子生物学的な解析とターゲット療法の開発が注目されており、個別化医療の重要性が高まっています。これらの進歩は、患者の予後を向上させるだけでなく、副作用を最小限に抑える治療法の選択肢を提供します。今後、ゲノム診療による治療ターゲット検索やAIを利用した病理診断の精度向上なども期待され、これらの技術が臨床にどのようにもたらされていくかが、サルコーマ治療の未来を形作る鍵となるのではないかと思われます。更に、臨床試験のデザインの革新もサルコーマ患者に新たな希望をもたらす重要な要素です。本講演では、サルコーマ治療の未来について、詳細で、わかりやすくお話させていただきます。
1. 後腹膜腫瘍・肉腫診療に対する九州がんセンターの取り組み
九州がんセンター 泌尿器・後腹膜腫瘍科 根岸 孝仁
後腹膜腫瘍や肉腫は稀な疾患ではあるが,本邦では腫瘍の部位や症状によってさまざまな診療科が診療に当たるため多くの医師が一度は症例に接した経験があると思われる。しかし稀な疾患であるため治療に関するエビデンスは十分ではなく、単一の診療科ですべての治療を行うのは困難であり、当院では原則多職種カンファレンスで検討を行って治療方針を決定している。カンファレンスを含めた当院での後腹膜腫瘍、肉腫診療に対する取り組みについて報告する。
2. 後腹膜悪性軟部腫瘍に対するチーム医療
岐阜大学医学部附属病院 整形外科 講師 永野 昭仁
後腹膜悪性軟部腫瘍に対する治療は、単一診療科のみでの対応が難しく診療科横断的な対応が求められることより、全国でサルコーマセンター/カンファレンスが設置される施設の報告が多くみられるようになってきている。今回我々は非サルコーマセンターである当院において、2008年~2022年に後腹膜悪性軟部腫瘍に対して行った治療の実態および治療成績を調査し、問題点について検討したので報告する。
3. サルコーマセンター整備・運用の工夫とこれから
神奈川県立がんセンター 骨軟部腫瘍外科 部長兼サルコーマセンター センター長
サルコーマは希少がんであり、四肢体幹にとどまらず全身のあらゆる部位に発生する。従来、診療は骨肉腫に代表されるように整形外科が中心となって行われてきたが、頭部皮膚や後腹膜原発など従来より複数科による診療体制が必要であることもまた認識されていた。当院では2023年度、サルコーマ診療における診療科横断的な体制をめざしサルコーマセンターを設置した。患者様の窓口を集約しシームレスな診療提供のための工夫や、症例の蓄積に伴う問題点を報告する。