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【多職種向け】 2025年

多地点合同メディカル・カンファレンス[2025年度-第8回]

司会:国立病院機構九州がんセンター
消化器肝胆膵内科 統括診療部長 杉本 理恵

がん医療をとりまく経済的環境は厳しさを増しています。高額な医薬品の増加、生命予後の改善に伴う治療期間の延長など経済的な問題で治療を続けられなくなる患者さんも相当数存在します。この回ではまず “経済毒性”について概説していただき、次いで経済的問題で治療継続が困難になる患者さんを減らそうとする当院の取り組みを紹介します。さらに避けて通れない国民皆保険の我が国における国全体の医療経済に対する毒性を軽減する視点についても述べます

1. 知っておきたいがんの経済毒性

愛知県がんセンター 薬物療法部・医長 本多 和典

がん治療の高額化・長期化により、患者・家族の経済的負担が深刻化し「経済毒性」が問題となっています。日本語版COST質問紙による調査では、若年層や非正規雇用者で特に負担が大きいです。対策としては、薬剤費などの支出の適正化、就労支援を含む収入面の支援、医療費の見通し提示や相談体制の整備が必要です。関係者が協力して具体的な支援策を充実させることが求められています。

2. がん治療における経済毒性への意識の重要性

国立病院機構九州がんセンター 乳腺科・部長 徳永 えり子

EBMとは科学的根拠のみならず、医師の専門性や患者・家族の希望や価値観などを総合的に考え、個々の患者にとってより良い医療を目指そうとするものです。EBM実践において治療効果や予後への影響と副作用などベネフィットとハームのバランスは考慮すべき重要事項です。がん治療にかかる費用は増加の一途を辿っており、治療決定の際には医師が経済毒性を意識し、患者と共有することが今後ますます重要になると考えられます。

3. 経済的困難のある患者への当院の取り組み

国立病院機構九州がんセンター 頭頸科・部長 藤 賢史

がん治療の成績向上と共に患者負担は増加する傾向にあります。”経済的困難患者への早期介入 促進チーム“は九州がんセンターで自主的に発足した組織横断的なチームです。 経済的な理由で治療に支障をきたすケースは、特徴的な背景に乏しく、いつどのような症例に発生するかを予測することは困難です。このため患者の言葉に注意深く継続的に耳を傾ける必要があります。この発表ではチームを中心とした当院の活動について報告します。

更新・確認日:2025年10月09日 [ 履歴 ]
履歴
2025年10月09日 抄録を更新いたしました。
2025年05月08日 抄録を掲載いたしました。
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