- 日時
- 2025年06月26日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 栄養腫瘍学(Nutrition Oncology)と運動腫瘍学(Exercise Oncology)
司会:公益財団法人がん研究会有明病院
院長補佐・乳腺内科部長 高野 利実
がんをめぐる学際領域「○○腫瘍学」が注目されています。「がんと食事」「がんと運動」は、市民からの関心も高いテーマであり、「栄養腫瘍学」「運動腫瘍学」という名前がついたことで、さらなる化学反応が起きています。がん予防、がん治療、がんリハ、緩和ケア、がんサバイバーシップケアにおいて、食事や運動がどのように役立つのか、研究も盛んに行われています。是非、皆さんも一緒に新たなムーブメントに乗っていきましょう。
1. ○○腫瘍学 ~異分野の出会いで生まれる新たなムーブメント~
公益財団法人がん研究会有明病院 院長補佐・乳腺内科部長 高野 利実
がんを抱えながら生きる患者さんやサバイバーが増え、他の病気や問題に直面することも多くなり、精神腫瘍学、腫瘍循環器学、腫瘍腎臓病学、腫瘍脳卒中学などの学際領域が盛んになっています。異分野の専門家が出会い、膝を交えて議論することは、新たな展開につながります。私自身、いくつかの学際領域に関わり、「運動腫瘍学」「栄養腫瘍学」の立ち上げにも関わって、その魅力にとりつかれています。そんな興奮をお伝えできれば、と思っています。
2. 栄養腫瘍学~予防から緩和まで~
公益財団法人がん研究会有明病院 栄養管理部 榎田 滋穂
がん患者に対する栄養管理は、治療効果の向上や予後の改善に寄与する重要な要素です。本発表では、栄養腫瘍学の視点から、がん予防における食事戦略、がん治療中の栄養サポート、サバイバーシップ期における長期的な栄養サポート、さらに緩和ケアにおける栄養サポートの在り方について概説します。当院での実践例や臨床研究の結果を踏まえ、がん患者における栄養管理の意義を考察し、より適切な栄養サポートのあり方を提案します。
3. 運動腫瘍学 ~がんの予防からサバイバーシップまでをつなぐ運動の可能性~
国立がん研究センター がん対策研究所がん政策評価研究部 街 勝憲
運動腫瘍学は、がんの予防、治療中の支持療法、治療後の再発予防とQOL改善まで、がんの全ライフステージを通じて運動の役割を探究する学際的分野です。近年、がん罹患者の増加やサバイバーシップ支援の重要性が高まる中、運動介入への関心が国際的にも広がっています。本講演では、①発症予防、②治療中のQOL・治療効果の改善、③治療後の健康支援の3つの視点から、国内外のガイドラインとエビデンスを踏まえ、今後の展望と課題を論じます。