- 日時
- 2025年07月24日(木)17:30~18:30
- テーマ
- がん薬物療法による皮膚・眼障害の最前線 ─早期対応で治療継続を守る─
司会:滋賀県立総合病院
腫瘍内科 科長 兼 化学療法部 部長 藤澤 文絵
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による多彩な皮膚障害、ADCを含む新規薬剤で問題となる眼障害。重症度評価と点眼を含む早期介入が治療継続の鍵となります。本講演では皮膚障害についてはSJS/TENなど重症薬疹の判断ポイントを、眼障害についてはダトポタマブデルクステカン等での眼障害マネジメントを解説し、多職種が実践できる対策を提案します。
1. 抗悪性腫瘍薬による皮膚障害とその対応
国立病院機構九州がんセンター 皮膚腫瘍科・医長 / 内 博史
アレルギー機序による薬疹はどの薬剤でも発症しますが、分子標的治療薬で標的分子が正常表皮にも発現する場合、その薬理作用から高率に皮膚障害の原因となります。また免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害は、臨床症状、発症機序ともに非常に多様で遷延することが多くあります。軽症であれば対症療法のみで癌治療が継続できる場合もありますが、SJS/TENなどの重症薬疹の原因となることも稀ではないため、早期の重症度判断と適切な治療介入が重要です。
2. がん薬物療法の眼障害と点眼について
滋賀県立総合病院 薬剤部 / 八尾 尚樹
がん薬物療法に伴う有害事象は多岐にわたるが、眼障害に注意が必要な薬剤がいくつか存在します。その一方で眼科専門医以外が眼障害に介入するのは難しく、対応に苦手意識を持つ医療者も少なくありません。こうした中、近年使用される抗体薬物複合体(ADC)では眼障害への注意喚起が強調されており、今後は専門医以外も治療継続のために適切な介入を行うことが求められます。今回はダトポタマブデルクステカンやチソツマブベドチンを中心に点眼薬の使用や実際について紹介します。