- 日時
- 2020年02月13日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 武装化抗体の現状:抗体療法の新しい方向性
(国立がん研究センター/がん研有明病院/先端医療開発センター発信)
司会 国立がん研究センター東病院 先端医療科 医長 久保木恭利
1990年代になり抗体エンジニアリングの発展とともに、キメラ抗体やヒト化抗体が登場し、抗体療法のみならず、抗体に低分子化合物が結合されたArmed-Antibodyの開発も飛躍的に発展を遂げた。ADC製剤はArmed-Antibodyの代表的な薬剤であり、DDS (drug delivery system)に基づいて開発された薬剤である。これまでに、Armed-Antibodyは血液腫瘍を中心に開発が進められてきたが、近年、HER2(human epidermal growth factor receptor 2)を標的とした新規の抗体薬物複合体(ADC s)や光免疫療法(Photoimmunotherapy: PIT)、Radioimmunotherapy (RIT)の開発などにより著しく発展を遂げており、がん創薬において最も注目されている領域の1つである。近年のADC製剤の特徴、開発、今後の展望について議論したい。
1.Antibody-drug conjugate の開発について
国立がん研究センター東病院 先端医療科 医長 久保木 恭利
ADC (Antibody-drug conjugate)製剤はArmed-Antibodyの代表的な薬剤であり、近年、HER2を標的とした新規の抗体薬物複合体(ADC s)や光免疫療法(Photoimmunotherapy: PIT)、Radioimmunotherapy (RIT)の開発などにより著しく発展を遂げており、がん創薬において最も注目されている領域の1つである。
2.ERBBファミリーを標的とした抗体結合薬の進歩
がん研究会有明病院・先端医療開発センター・がん早期臨床開発部 科長 古川 孝広
現在、乳がん治療に用いられている抗体-薬物複合体(ADC)のT-DM1をはじめとして、ADCの治療開発が行われている。乳がんなどに発現するHER2は良い治療標的となり、抗HER2-ADCの一つであるDS-8201aがHER2陽性の固形がんを対象として様々な臨床試験が実施され、FDAから乳がんを対象にDS-8201aが承認される他、HER3を標的他治療開発が急速に進んでいる。HER3を対象とする薬剤開発の現状を中心に紹介したい。
3.武装化抗体の基礎・TR研究
国立がん研究センター・先端医療開発センター・新薬開発分野 ユニット長 安永 正浩
武装化抗体には、ADCとRITが存在する。前者の場合、抗体はActive targeting能をもつ高分子キャリアであり、血中では安定で腫瘍局所では効率よく薬剤をリリースできる特性(Controlled release)から、DDS製剤そのものといえる。分子イメージングを用いてドラッグデリバリーの観点から武装化抗体の研究開発を行っている。また、質量分析を用いたTR研究への取り組みについても紹介したい。