- 日時
- 2020年10月08日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 「緩和医療期に食ベる」ことの意義
(千葉県がんセンター/大阪国際がんセンター/岩手県立中央病院発信)
司会 千葉県がんセンター 食道・胃腸外科 鍋谷 圭宏
緩和医療期は、個々の患者ごとに異なる全身状態ならびに推測予後に応じた栄養管理が必要になるが、この時期の患者が「食べる」ことの意義は何だろうか?余命を実感しつつも必要な治療は継続し、家族と共に「楽しむ」時間を共有し、QOLを上げるためには、緩和医療期こそ「口から食べる」意義が大きいのではないだろうか?人工栄養に目が行きがちな医療者が、患者目線で一人でも多くの「食べたい」に応えるための工夫を3施設からご発表いただき、その意義を共に考え、これからの緩和医療に役立てていただきたい。
1. 治療方針に沿った「食べられる」病院食に向けての取り組み
大阪国際がんセンター 栄養管理室 松岡 美緒
病院給食はがん治療の栄養管理を担う基本であるが大量調理・規約上の制約が存在し、患者にあう食事提供ができないことがある。当院では治療方針に沿った戦略的な栄養治療の一部とし患者メリットとなる食事を意識し、食種設定や管理栄養士による食事聞き取り対応や食事提供の工夫に取り組んでいる。当院の現在までの病院給食と管理栄養士の取り組みを紹介する。
2. わたあめで支える 食べる喜び
千葉県がんセンター 栄養科 前田 恵理
当院では「おいしく食べたいに応えたい」をモットーに栄養サポートを行っている。しかし、がん緩和医療期の患者は「食べられない」苦痛を抱えていることが多い。当院では、そのような患者が食を楽しむ契機になればと、わたあめを適宜提供している。わたあめは消化管閉塞や高度の嚥下障害を有する患者でも味わうことができ、「おいしい」の声と笑顔を引き出しており、その後の食事摂取の契機になることもある。患者のQOL向上に加えて、ご家族の喜びや励みにもつながる「食べる喜び」を支えるわたあめの取り組みについて紹介したい。
3. 食べる喜びを支える食事「結いっこ食」の見直し
岩手県立中央病院 栄養管理科 元良 久恵
「結(ゆ)いっこ食」は、がん加療による食欲不振等のある方に提供する、半分量程度で好まれる料理を取り入れたメニューである。平成25年11月より、運用開始したが、1回に対応できる食事数が8食程度であること、患者・院内スタッフへの案内および申し込み方法が十分周知されていないため、限られた病棟での提供となっている。今後の食事サービス向上のため、メニューと提供食事数の検討、案内や申し込み方法の見直しを行ったので報告する。