- 日時
- 2020年03月26日(木)17:30~19:00
- テーマ
- ミスマッチ修復欠損腫瘍とリンチ症候群
(埼玉県立がんセンター発信)
司会 埼玉県立がんセンター 腫瘍診断・予防科 赤木 究
免疫チェックポイント阻害薬の効果予測のためにミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の判定がバイオマーカーとして注目を集めている。国内では、ペムブロリズマブの適応判定にMSI検査がコンパニオン診断薬となり、多くの進行固形がんに対し実施されてきた。各種固形がんにおけるMSI検査のリアルワールドデータを示し、その実態を明らかにすると同時に、ミスマッチ修復の分子機構、リンチ症候群の遺伝子診断について解説する。
1.DNAミスマッチ修復の分子機序とdMMR細胞の薬剤耐性
埼玉県立がんセンター 腫瘍診断・予防科 宮部 泉
生物はゲノム情報を正確に維持するために、様々なメカニズムを備えている。DNA複製時に生じるミスマッチは変異の原因として最も多いが、そのミスマッチ修復の分子メカニズムについて解説する。また、dMMR細胞が抗がん剤に対して耐性となる分子メカニズムについても考察する。
2.MSI-H進行固形がんのリアルワールドデータ
埼玉県立がんセンター 腫瘍診断・予防科 赤木 究
dMMR進行固形がんに対しペンブロリズマブが保険適応となって1年が過ぎた。日本では、dMMR固形がんを同定するためにMSI検査がコンパニオン診断薬となった。この1年間、国内で実施された26000を超える進行固形がんのMSI検査のリアルワールドデータを示し、その特徴を解説する。
3.リンチ症候群の遺伝子診断
埼玉県立がんセンター 腫瘍診断・予防科 山本 剛
リンチ症候群は、大腸がんや子宮内膜がんなど様々ながんの発症リスクが高くなる、ミスマッチ修復遺伝子(MLH1、 MSH2、 MSH6、 PMS2)を原因遺伝子とする常染色体優性遺伝病である。遺伝子解析の結果、これらの遺伝子に同定される病的バリアントは、塩基置換や小挿入・欠損のみならず、スプライシング異常や大きな欠損、レトロトランスポゾンの挿入など、想像以上に多彩なゲノムの構造異常が認められた。このような複雑な構造異常の解析法を含め、解説する。