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【多職種向け】 2020年

多地点合同メディカル・カンファレンス[2020-第7回]

(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科 下井 辰徳

我が国でも、2019年6月より2種類のがんゲノムプロファイリング検査(遺伝子パネル検査)が保険適用になった。一方で、検査時期、エキスパートパネルの検討方法及び患者に対する検査後の治療選択肢の提示、さらには医療機関間での治験情報の共有といった点で、臨床実装のための検討事項が残っている。保険適用後1年弱が経過した現時点で、遺伝子パネル検査をどう活用するのが良いか議論を深めるとともに、今後の展望として、現行の遺伝子パネル検査の使い方に関した新たな研究の試みや今後想定される新たな検査についても、議論したいと思う。

1.エキスパートパネルの運用と治療の実際

国立がん研究センター中央病院 先端医療科 小山 隆文

がん遺伝子パネル検査によってわかる遺伝子異常にマッチした薬剤選択をするための専門家会議であるエキスパートパネルの当院での運用方法を紹介し、今後の課題を述べる。また、エキスパートにおいて提案される薬剤の多くが未承認薬であり、臨床の現場でがん遺伝子パネル検査の結果を活用するためには、臨床試験への理解が重要となる。第1相試験を中心とする治験や受け皿試験へのアプローチに関して説明する。

2.NCCオンコパネルシステムを用いた新たな臨床研究-Upfront NCCオンコパネル-

国立がん研究センター中央病院 呼吸器内科 吉田 達哉

NCCオンコパネルシステムなどの遺伝子プロファイル検査は、「標準治療がない、または局所進行もしくは転移が認められ標準治療が終了となった固形がん患者」に対してのみ保険適用となっているため、検査ができない患者、または実施して治療対象となり得る遺伝子異常が検出されても治療導入まで至らない患者が少なくない。国立がん研究センター中央病院では、固形腫瘍患者を対象として、初回治療時にNCCオンコパネルシステムを行うことの臨床的有用性を評価する臨床研究を開始した。本会では、研究の概要と進捗について紹介する。

3.がんゲノム検査の未来像

東京大学医学部附属病院 ゲノム診療部 織田克利

がんゲノム検査に基づく治療については現状で十分とはいえず、単一のがん遺伝子変異と薬剤とを1対1で対応させる治療法に限界があることが一因として挙げられる。相同組換修復欠損やMSI、TMB-High等、がんの生物学的特性を標的とした治療法が普及してきており、疾患の層別化、予後予測、薬剤感受性の新規バイオマーカーの開発も重要と考えられる。Todai OncoPanelを例に、今後のがんゲノム検査の発展形を考えてみたい。

更新・確認日:2023年08月30日 [ 履歴 ]
履歴
2023年08月30日 ビデオを削除いたしました。
2020年05月25日 ビデオを掲載しました。
2020年04月10日 抄録を更新しました。
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