- 日時
- 2020年02月27日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 日常臨床における遺伝性腫瘍
(東京都立駒込病院発信)
司会 東京都立駒込病院 外科(大腸) 山口 達郎
昨年保険収載された「がん遺伝子パネル検査」は、一度に複数のゲノム異常を解析し、候補となる治療薬を探索する。標準治療が効果を示さなくなった患者にとって一筋の光明となることが期待される。その一方で、遺伝性腫瘍の原因遺伝子に異常が見つかれば、いわゆる「がん家系」が「遺伝性腫瘍」となり、その対応に苦慮することがある。本カンファレンスでは、駒込病院の日常診療における遺伝性腫瘍に関する発表をもとに、必要な改善点をご指摘していただき、今後の対策について施設間で共有できるようにしたい。
1.当院における遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の診療について
東京都立駒込病院 外科(乳腺)・遺伝子診療科 有賀 智之
当院では、2011年6月よりHBOCに対するカウンセリング、遺伝子検査の提供を開始した。2018年7月にオラパリブの保険適応が転移再発乳がんへ拡大すると、一部の患者さんへは保険診療にてBRCA1/2遺伝子検査の提供が可能になった。 また、2020年1月より遺伝性乳がんの複数の原因遺伝子を含んだパネル検査を導入するなど、昨今目まぐるしい進歩を見せるHBOC診療に関して当院の歩んできた道のりと現状、今後の展望などを述べてみたい。
2.駒込病院における遺伝性腫瘍のスクリーニングと遺伝学的検査
東京都立駒込病院 外科(大腸)・遺伝子診療科 山口 達郎
当院では、2008年よりリンチ症候群のスクリーニングを目的に、大腸がん手術症例を対象としてユニバーサルスクリーニングを前向きに実施している。 また、臨床的に家族性大腸腺腫症と診断された患者にも積極的に遺伝学的診断を行っている。 これまで2000例を越える経験から得たデータを報告し、今後の遺伝性腫瘍のスクリーニングや遺伝学的検査のあり方・必要性について本カンファレンスで共有する。
3.駒込病院における遺伝カウンセリング体制
東京都立駒込病院 看護部・遺伝子診療科 認定遺伝カウンセラー®︎ 井ノ口 卓彦
従来、濃厚な既往歴や家族歴のある一部の患者が対象だったがん領域の遺伝子診療は、がんゲノム医療やBRCA1/2検査などのコンパニオン診断の普及により日常診療へと変化をしてきた。 遺伝子診療の過渡期とも言える昨今のがん領域の遺伝カウンセリングと遺伝性腫瘍患者の特徴について触れながら、当院における遺伝カウンセリング体制について紹介をする。