- 日時
- 2020年07月09日(木)17:30~19:00
- テーマ
- チームで取り組む高齢がん患者の診療
(九州がんセンター発信)
司会 九州がんセンター 統括診療部長(消化管外科) 森田 勝
がん専門病院である当院では初代院長のモットーの「病む人の気持ちを」尊重することを病院理念としている。2016年度からは、病院長主導のプロジェクトとして医療の質、地域連携、研究等に関する全25チームを形成し活動を行っているが、今回は当院の高齢者のチーム医療を紹介する。
1. 高齢者評価・管理チームチームそして老年腫瘍科の取り組み
九州がんセンター 老年腫瘍科 西嶋 智洋
当院では高齢者評価・管理チームそして老年腫瘍科が中心となり、高齢者に、総合的な健康状態や価値観を考慮して、一人一人に最適ながん治療を提供している。2018年より75歳以上の新規患者に、G8という高齢者機能評価(GA)のスクリーニングをおこない、コンサルトを受けて老年腫瘍科にてGAを施行している。GAにより治療方針の決定を支援し、見つかった問題に対して多職種と連携して早期から介入をおこなっている。
2. 高齢がん患者の手術における高齢者機能評価の役割
九州がんセンター 肝胆膵外科 杉町 圭史
当科で手術を受ける高齢がん患者に対して2018年より老年腫瘍科による高齢者機能評価(GA)を全例に行っており総合的な診断がなされている。GAは高齢がん患者の医学的な治療方針・手術適応の決定に重要な情報であるが、それだけでなく患者・家族の意思決定支援やプレハビリテーションなどにも活用している。実臨床ではGAは術後合併症発症予測だけでなく合併症発症後の回復力の評価にも有用と考えている。今回は具体的な症例を中心に当科での取り組みを紹介する。
3. ベンゾジアゼピン受容体作動薬使用量減少への取り組み
九州がんセンター 薬剤部 橋本 未雷
ベンゾジアゼピン受容体作動薬(BzRAs)は転倒・骨折、せん妄、認知機能低下のリスクが報告されており、特に高齢者においては使用を控えることが推奨されている。当院で老年腫瘍科と協力して行っている、①不眠時指示の変更、②BzRAs漸減プログラムの運用、の2つの取り組みについて紹介する。
4. 外来化学療法センターにおける高齢がん患者の日常生活機能評価導入の取り組み
九州がんセンター 看護部 吉田 ミナ
高齢がん患者は、薬物療法を継続する中で、日常生活機能が低下しやすいことが報告されている。しかし、実臨床では、高齢者は非高齢者と同様に、症状とPSで評価され治療が選択されていることが多い。高齢がん患者の治療の目的として、延命と同様に、日常生活機能維持が重要であるため、当施設では日常生活機能の経時的評価を導入したので紹介する。
5. チームで取り組む高齢がん患者の根拠に基づいたせん妄予防ケア
九州がんセンター 看護部 北川 善子
当チームでは、ハイリスク高齢者のせん妄発症を予防し、日常生活機能、認知機能の維持安定を図りながらがん治療を提供することを目的としたせん妄予防ケアプログラムを作成した。プログラムはHELP(Hospital Elder Life Program)を参考にして全国の高齢がん患者に適応しやすい内容で構成し、リンクナースの意見も集約して作成した。本プログラムとチーム活動について紹介する。