- 日時
- 2023年03月09日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 食道がん周術期及び中長期における多職種チーム医療
(静岡県立静岡がんセンター発信)
司会 静岡県立静岡がんセンター 食道外科 坪佐 恭宏
食道癌の周術期管理は多職種チームで対応している施設がほとんどである。
栄養管理、呼吸リハビリテーションなどは術前から開始し、術後も継続的な管理が必要になる。
今回は静岡がんセンターの各専門家からこれら周術期管理における現状を概説していただく。
また食道癌の術後早期の管理はこれまで様々議論されてきたが外来における中長期の管理についてはまだまだ議論の余地がある。現在進行中の外来リハビリテーションに関する臨床試験も含め今後の中長期の管理について検討したい。
1. 食道がん周術期リハビリテーション~当院の取り組みについて~
静岡県立静岡がんセンター リハビリテーション科 理学療法士 上原 立資
近年、低侵襲手術や集学的治療の進歩により食道がん外科治療後の成績は向上しているが、手術侵襲はなお高度であり、術後の身体機能・QOL低下をきたしやすい。術後合併症リスクの高い患者に対する術前リハビリテーション(以下リハビリ)治療は現在では一般的に行われているが、その方法は標準化されておらず、効果は施設によって差がある。今回は、当院で実施している食道がん外科治療に対する周術期リハビリについて報告する。
2. 食道癌周術期栄養管理、術後嚥下調整食の取り組み
静岡県立静岡がんセンター 栄養室 管理栄養士 山下 亜以子
食道癌患者は治療開始前から通過障害による経口摂取量減少のため、栄養状態が悪化しているケースが多く、治療開始前からの栄養サポートが必要とされる。術後は経口摂取開始時から嚥下調整食(TMD:Texture-modified diets)が必要となり、退院後も継続する必要がある。静岡がんセンターでは多職種にて治療開始前からの支援を行い、術後経口摂取開始時からは多職種チームで考案した食道癌術後用のTMDを使用している。今回その取り組みについて紹介する。
3. 胸部食道癌に対する外来リハビリテーションの現状と課題
埼玉医大国際医療センター消化器外科 佐藤 弘
胸部食道癌手術における周術期リハビリテーションの重要性は極めて高いと考えられる。手術手技の進歩だけなく、栄養管理・周術期リハビリテーションを軸とした周術期管理の進歩により治療成績は改善してきている。しかしながら、外来リハビリテーションに関しては、診療報酬が認められていないため、確立していないのが現状である。現在、臨床試験を施行中であるが、現在までの知見とその課題について、概説したい。