- 日時
- 2023年07月27日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 高齢がん患者の意思決定支援
(国立がん研究センター東病院発信)
司会 国立がん研究センター東病院 精神腫瘍科 小川 朝生
がん診療において、治療方針の決定や療養場所の選定など意思決定支援は様々な場面で重要になります。特に高齢者の支援では、難しい治療内容をどのように伝えるのか、本人の理解度をどのように確認するのか、理解が十分でない場合にどのようにするのがよいのか、医療者が迷う場面も多々あります。今回は、高齢者のがん診療において重要となる意思決定支援をとりあげ、共有する場を企画しました。
1. 高齢がん患者の意思決定支援
国立がん研究センター東病院 精神腫瘍科 小川 朝生
高齢者の診療機会の増加や障害者権利条約の批准により、がん医療においても合理的配慮に基づく意思決定支援の実践が求められている。しかし、拠点病院において、意思決定支援に関する具体的な支援方法に習熟している施設は3割程度と、評価や支援方法について知られていない課題がある。ここでは、意思決定支援に関する国のガイドラインとあわせて、臨床でどのような取り組みができるのかを考えていきたい。
2. 入院準備外来における意思決定支援の取り組み
国立がん研究センター東病院 看護部 金子 菜穂子
高齢がん患者には認知機能低下をはじめ、身体機能の低下、社会経済的な問題を伴うことが多く、系統的な評価・支援が重要である。実際に拠点病院の新整備指針において高齢者機能評価を実施することが掲げられるに至った。当院では入院準備外来において、入院予定患者を対象にオリエンテーションとあわせて高齢者機能評価を実施し、情報を共有すると共に必要な支援を早期に導入する体制を試みている。当院サポーティブケアセンターでの活動と共に意思決定支援の取り組みを紹介する。
3. 緩和ケアチームにおける意思決定支援の取り組み
国立がん研究センター東病院 看護部 佐藤 恭子
高齢がん患者の治療・ケアにおいては、認知機能に鑑みた手技獲得への支援や療養先の検討を行うなど、様々な場面で意思決定支援が絡む。目的を達成するためには、患者の意向の確認と共に、サポート状況や社会資源等の情報を、主治医と病棟スタッフ、多職種チームで共有することが求められる。ここでは当院支持療法チーム(緩和ケアチーム)が入院中に病棟スタッフと共に意思決定支援に関わった症例を報告する。