- 日時
- 2023年06月22日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 多診療科・多職種医療者が参加する骨転移カンファレンスによる骨転移への早期介入の試み
(茨城県立中央病院発信)
司会 茨城県立中央病院(腫瘍内科) がんセンター長 小島 寛
がんの骨転移は、疼痛や病的骨折などのため患者QOLを著しく低下させる可能性がある合併症であり、早期の医療的介入が必要であることが少なくない。介入に際しては主診療科のみならず、整形外科、放射線治療科、リハビリ科などの医師、看護師、理学療法士など多職種医療者がチームとして対応することが必須である。本カンファレンスでは、我々が定期開催している骨転移カンファレンスについて紹介し、がんの骨転移に対する診療のあり方を議論する。
1. 骨メタ(転移)チームの意義と骨メタに対し整形外科が出来る事
茨城県立中央病院 整形外科 林 宏
各臓器の癌のそのものに対する治療の進化に伴い、骨メタ(転移)患者は増加している。しかし、臓器別の診療科の医師は骨メタの治療は単独ではできない。そこで骨メタチーム、カンファである。このチームは放射線医師、整形外科医師、リハ科医師、理学療法士、専任看護師で構成され骨メタを総合力で治療する。整形にできることはADL、QOLを著しく下げる脊椎と大腿をはじめ長管骨に対する手術治療であり、麻痺の予防、疼痛軽減、歩行維持が可能である。手術を意味ある早期に行えるのは骨メタチームの存在無しには語れない。
2. 骨転移チームの紹介
茨城県立中央病院 緩和ケアセンター がん看護専門看護師 柏 彩織
当院では、2017年から多職種による骨転移チームによるカンファンレンスを月2回開催している。病名や画像診断のレポートから骨転移患者をリストアップし、整形外科的介入や放射線治療の介入、リハビリ科の介入など今後の治療方針、安静度を含めた日常生活指導、骨折や麻痺のリスクなどについて話し合っている。検討結果は、診療記録に残し、各診療科の主治医には治療法を提案し、担当看護師にはケアに生かせるよう指導している。その他、緊急症例は、がん看護専門看護師が窓口となり相談を受けている。
3. 骨転移に対する放射線治療内容の変遷
茨城県立中央病院 放射線治療センター 奥村 敏之
骨転移由来で放射線治療が関わる事象として疼痛・病的骨折・麻痺等があげられる。これらは患者のADLに大きく影響するため、発症の予防が理想ではあるが、現実はこれらの事象が起きてから介入することが多い。当院の骨転移照射件数はコロナ禍のここ数年、年間120件ほどで推移するが、この多職種カンファレンスの実施にともなって、当科的なアプローチの仕方に変化が認められるか否か、治療内容の変遷を整理することで検証する。
4. がん骨転移患者へのリハビリテーション介入について~骨転移カンファレンスの重要性~
茨城県立中央病院 リハビリテーション技術科 理学療法士 海藤 正陽
当院は総合病院であることから様々な疾患を有する患者へリハビリテーションを提供している。2016年がん対策基本法が改正されたこともありがん患者へのリハビリテーション介入も増えている。がん骨転移患者へのリハビリテーションも必要とされ、骨転移カンファレンスを通して対応に当たっている。今回はがん骨転移患者へのリハビリテーション介入の実績を提示するとともに、骨転移カンファレンスの重要性を示唆する事例を報告する。