- 日時
- 2023年10月12日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 免疫関連有害事象に対する初期対応
(石川県立中央病院発信)
司会 石川県立中央病院 腫瘍内科 辻 国広
がん診療における免疫チェックポイント阻害薬は切除不能例にとどまらず、周術期治療にも適応を広げ、標準治療として確立されてきた。臨床導入から5年以上が経過したがん腫がでてきているが、免疫関連有害事象の初期対応に難渋する場面も多い。今回、当院での免疫関連有害事象の初期対応に対する各部署の取り組みについて報告する。
1. 医療現場における診断エラー:免疫関連有害事象の対応を例に
石川県立中央病院 腫瘍内科 辻 国広
免疫関連有害事象においては、発症時の初期対応が重要であるが、診断が遅れる症例をしばしば経験する。診断の遅れの要因としては個人の知識不足だけではなく、認知バイアス、システム・環境要因等も存在し、臨床現場の意思決定に影響を与えていることもある。今回、診断エラーにつながる要因について整理し報告する。
2. 免疫関連有害事象(irAE)の早期発見・対応に向けた化学療法室での取り組み
石川県立中央病院 看護部 藤川 直美
免疫関連有害事象は、頻度は低いものの重大な副作用も含まれるため、早期発見・対応が重要である。免疫チェックポイント阻害薬を含むがん薬物療法は、外来で行われることが多く、限られた時間の中で症状の早期発見・対応を行うためには、多職種での協働が重要になる。今回は、化学療法室で実施している問診票による症状のモニタリングや血液データのチェック、早期対応に向けた取り組みについて報告する。
3. 免疫関連有害事象(irAE)の早期発見・早期対応への取り組み(薬剤師の立場から)
石川県立中央病院 薬剤部 久保 杏奈
免疫チェックポイント阻害薬は、適応拡大に伴い、多くの癌腫や診療科で取り扱うようになってきており、肺障害、腸炎、内分泌障害など、全身性に多様な病態で発現する可能性がある免疫関連有害事象(irAE)に対するマネジメントが重要となってきている。しかし、昨今、化学療法と免疫チェックポイント阻害薬を併用した治療が増えてきていることもあり、さらにそのマネジメントが複雑になってきている。当院では、免疫チェックポイント阻害薬用の問診票を独自に作成し、診察前に毎回記載してもらうことで、患者の体調の変化をモニタリングおこなっていくとともに、体調不良にて緊急に救急外来等に受診した際、免疫チェックポイント阻害薬投与中であることがわかるよう、電子カルテ内に記載することで、早期発見・早期対応に努めていることから、その具体的な内容について報告する。