- 日時
- 2023年11月09日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 原発不明がんの診療について
(兵庫県立がんセンター発信)
司会 兵庫県立がんセンター 腫瘍内科/遺伝診療科/外来化学療法センター 松本 光史
原発不明がん(Cancer of unknown primary: CUP)は全がんの数%を占めるといわれ、代表的な希少がんの1つである。
JSMOが作成した診療ガイドラインはあるもののまだまだ不明な点も多く、2021年12月にニボルマブが適応拡大を果たす前は、保険適用のある薬剤もなかった。
診断・治療ともに不確定な要素が多いため、患者や家族のみならず医療者にとっても難しい疾患の1つといえる。
今回は臨床・病理の立場から若干の自施設のデータも踏まえて現状についてプレゼンした上で、今後の原発不明がん診療について各施設の先生方とディスカッションする機会としたい。
1. 原発不明がんの病理診断
兵庫県立がんセンター 病理診断科 佐久間 淑子
原発不明がん(CUP)の病理診断は、主として転移巣の組織形態に加え、免疫組織学的手法を用いて行われているが、未分化な腫瘍や扁平上皮癌、一部の腺癌などは発生臓器による組織の特異性に乏しく、診断に難渋することもしばしばあり、CUP疑い例の診断には、臨床医との密接な情報交換が非常大切である。また、特定の腫瘍を除き、診断のための遺伝子検査はなかなか現実的ではなかったが、近年、がん遺伝子パネル検査が保険適用となり、当院でもCUPと診断された症例のうち何例かがパネル検査に提出された。当院におけるCUPの診断について、病理の立場から考察を加えたい。
2. 原発不明がんの診療:臨床的な側面から
兵庫県立がんセンター 腫瘍内科/遺伝診療科/外来化学療法センター 松本 光史
原発不明がんは代表的な希少がんの一つであり、どの拠点病院でも一定の頻度で遭遇する。診療ガイドラインも幾つか策定されているが、診断・治療ともにまだ未確立な部分が多い。主に臨床的な側面からガイドラインと代表的な論文をレビューした上で、自施設のデータを紹介し、今後の課題について参加者の皆様と議論したい。