- 日時
- 2023年10月26日(木)17:30~18:30
- テーマ
- がん診療における医療安全
(名古屋医療センター発信)
司会 名古屋医療センター 外科 服部 正嗣
がん診療は治療の進歩による多角化、個別化によりその効果、恩恵は増す一方、有害事象や関連するトラブルに対する対策も多岐にわたり、常に対策を最新のものへと修正を行う必要がある。がん診療における医療安全について医療安全部から医療安全の最新の総論を解説するとともに、主に化学療法室での看護師の有害事象の早期発見、重篤化防止のための実践的な取り組み、薬剤師による積極的な情報提供を通じた薬薬連携について現場の担当者からの直接の声を報告する。
1. 患者安全の今後とがん診療
名古屋医療センター 医療安全管理部・外科 安田 あゆ子
日本で医療安全が言われるようになってから20数年が経ち、安全の方向性にも変化がみられる。世界保健機関(WHO)が近年改訂した患者安全の定義は、回避可能な害を減らすための組織行動の枠組みとされており、システムとして、リスクを評価し予防策を組み込むことや、患者さんの関与を促し安全な医療提供に協力してもらうことの強化が言われている。WHO世界患者安全行動目標について言及しつつ、がん診療の安全性強化の今後について考えたい。
2. 化学療法室での取り組み
名古屋医療センター がん化学療法看護認定看護師 吉田 美紀
外来化学療法室では、投与時に気を付けることなど多職種で朝ミーティングを行うことで情報共有している。投与中に起こる有害事象(過敏症や血管外漏出など)を早期発見・対処し重篤化を防いでいく必要がある。また、自宅で起きた有害事象を患者と医療者が共有できるよう、チェック表を利用している。当院の取り組みについて報告する。
3. がん診療における医療安全 ―薬薬連携を中心に―
名古屋医療センター 化学療法室担当薬剤師 早川 裕二
当院では保険薬局との施設間連携として、特に注射剤を使用する患者においては全例に投与計画書を用いて情報提供している。内服薬のみの患者には現時点では腫瘍内科、外科の患者を中心に主治医より依頼を受け、薬物治療に関する説明書、薬剤適正使用のための施設間情報提供書を用いて情報提供している。がん腫、レジメン内容、具体的な副作用対策や管理方法の情報共有を行うことで保険薬局からも病院と齟齬のない説明が可能となり有害事象の早期発見、対応に貢献している。