平成28年6月15日、第4回小児がん拠点病院連絡協議会が国立がん研究センターにて開催され、全国15の小児がん拠点病院および国立成育医療研究センターと国立がん研究センターの2つの小児がん中央機関代表者が参加した(出席者名簿)。
開会にあたり、国立成育医療研究センターの五十嵐隆理事長、国立がん研究センターの中釜斉理事長および、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の丹藤昌治がん対策推進官より挨拶があった。
1. 中央機関からの報告
鈴木彩医療社会事業専門員(国立成育医療研究センター)から資料の説明が行われ、相談支援部会の開催や、今年度は、8月13日・14日に小児がん相談員研修、12月には継続研修を計画していること等が報告された。(資料1)
2. 小児がん中央機関としての国立がん研究センターの活動 情報提供を中心に
若尾文彦センター長(国立がん研究センターがん対策情報センター)から資料の説明が行われ、中央機関事業としての国立がん研究センターの活動について、情報提供の現状を中心に報告された。(資料2)
新たに、小児がん情報サービスのレイアウト変更、イベント情報の掲載等を行い、アクセス数は40000~60000件/月である。また、東京都小児がん診療連携協議会が発行した小児がん診断ハンドブックへのリンクも掲載したことが報告された。
3. 小児がん医療従事者育成事業について
富澤大輔血液腫瘍科医長(国立成育医療研究センター)から資料の説明が行われ、昨年の医療従事者研修(小児脳腫瘍多職種診療チーム研修)の報告や、今後の研修の予定について報告された。(資料3、資料3 別紙)今年度は、11月に小児がん長期フォローアップ研修を行う予定である。
4. 小児がん中央機関アドバイザリーボードについて
松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)から資料の説明が行われ、小児がん中央機関アドバイザリーボードについて、開催状況に関して報告された。(資料4、資料4別紙)
5. 相談支援部会の設置について
鈴木彩医療社会事業専門員(国立成育医療研究センター)から、相談支援部会設置要綱について提案され、承認された。 (資料5))
6. 診断部会の設置についての提案
清河信敬小児血液・腫瘍研究部長(国立成育医療研究センター)から資料の説明が行われ、小児がん中央機関の「診断・治療などの支援を行う」という目的のために、病理診断、放射線診断、分子診断の連携を中心とした診断部会の設置について提案され、承認された。 ( 資料6-1、 資料6-2-1、 資料6-2-2、 資料6-2-3)
7. 小児がん診療施設に関する情報公開について
松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)から資料の説明が行われ、小児がんを診療する地域協議会の参画施設を対象として、院内がん登録の情報に、再発症例数を加えた情報を収集し、公開することを検討していることが報告された。(資料7、資料7別紙 、資料7別添1、資料7別添2、資料7別添3)
8. 小児がん登録準備事業について
瀧本哲也小児がん登録室長(国立成育医療研究センター)から資料の説明が行われ、小児がん登録準備について、小児がんデータコンソーシアム(仮称)の設立を計画し、運営委員会やデータ利用委員会などの組織や運用体制の構築等について、国立がん研究センターと国立成育医療研究センターとで協議していることが報告された。(資料8)
9. アンケート結果について
松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)から資料の説明が行われ、平成28年度小児がん拠点病院連絡協議会事前アンケートについて報告された。(資料9)
10. 総合議論
1) 集約化と均てん化について
- 地域の協議会参画施設との情報共有により、均てん化を進めてほしい。
- すべての小児がんを集約化するのではなく、疾患ごと、病態ごとで集約化すべきものと、均てん化するものを考える必要がある。
2) 長期フォローアップについて
- 長期フォローアップ・小児がん登録に関して,少しでも前に進めてほしい。
- 国を支える一員という観点で、長期フォローアップを考えるべきである。
3) 臨床研究について
- 再発・難治の患者が受けたいような新規治療開発の治験を、小児がん拠点病院を中心にして動かすべきである。
- 協議会などで、どのように早期相の治験を進めるべきか、考える必要がある。
- 成人のがん拠点では研究の遂行が必須となっているのに対して、小児がん拠点病院では必須ではない。整備指針を変えることが必要なのではないか。