令和4年6月13日(月)、第16回小児がん拠点病院連絡協議会をオンラインで開催した。全国15の小児がん拠点病院および国立成育医療研究センターと国立がん研究センターの2つの小児がん中央機関代表者が参加した。(出席者名簿)
開会にあたり、国立がん研究センターの中釜斉理事長、国立成育医療研究センターの五十嵐隆理事長より挨拶があった。また、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の上野琢史課長補佐より挨拶があった。
1.小児がん中央機関からの報告
小児がん中央機関からの報告①(資料1-1)
若尾文彦事業統括(国立がん研究センターがん対策研究所)より、がん情報サービス小児関連ページのアクセス状況、各種小児がんコンテンツ更新の進捗状況、院内がん登録全国集計結果閲覧システムへの小児・AYAがん集計データの掲載計画について、以下の内容が報告された。
- 2~3月に減ったアクセスが、療養情報等をPDFからwebページへの更新を進めたことにより4月からは増えている。
- 各種のがんについてはPDFが残っているためアクセスが伸びていないが、JCCGの先生方と協力し更新作業中である。
- 院内がん登録小児AYA・がん集計について、院内がん登録全国集計結果閲覧システムで2020年のデータを年齢階級別に参照できるが、がん種が成人がんのため機能を追加し、2018-2019年小児・AYAがん集計を掲載する準備を実施している。
小児がん中央機関からの報告②(資料1-2)
松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)より以下の内容について報告された。
- 小児がん連携病院の診療実態についてカテゴリー1の110施設のうちQIの提出のあった105施設の結果をもとに解析した結果について。
- 小児がんホットラインについては相談数が減少している。
- 中央機関としての小児がん研修事業について。
- 情報公開について基準日を現況報告書に合わせ、今年度より1月1日現在から9月1日現在に変更し、8月上旬に様式配布・10月31日締め切り予定で収集の予定である。
- 成育のHPに小児がん事業関連の各種ご案内を掲載予定。
2.相談支援部会からの報告(資料2)
鈴木彩医療社会事業専門員(国立成育医療研究センター医療連携・患者支援センター)より以下の内容について報告された。
- 今年度も3種の研修と相談支援部会を2回開催予定。
- 第16回小児がん拠点病院連絡協議会相談支援部会を実施し、小児がん拠点病院等の指定要件に関する要望・第4期がん対策推進基本計画策定に向けた要望をまとめた。
- ブロックにおける小児がん拠点病院と小児がん連携病院との連携体制の整備についての事前アンケート結果について結果を共有した。
- 小児・AYA世代がん患者の教育に関する要望書提出を2022年3月厚生労働省、文部科学省に提出した。
3.看護部会からの報告(資料3)
嶋田せつ子看護部長(国立成育医療研究センター看護部)より看護部会について報告された。
- 令和3年度は各施設で作成した自施設の強みや看護実践内容をまとめたリーフレットから、アンケートで意見の多かった3施設の実践内容を共有し、自施設で活かすことができた内容のアンケートをとった。
- 今年度は3施設より小児緩和ケアチームの活動の実際、アドバンスケアプランニングの実際、兄弟支援について発表し共有した。
- 小児がん拠点病院看護部会細則がなかったため案を作成した。
4.病理部会からの報告(資料4)
義岡孝子統括部長(国立成育医療研究センター病理診断部)より病理診断部会について報告された。
- 中央病理診断症例数の推移・腫瘍グループ別の中央病理診断症例数について。
- 中央病理診断の今後について審議事項とした。
- 2021年成育で行っている検索において腫瘍グループ別経費コスト計算結果の情報共有をした。
- FISHにおいて脳腫瘍では臨床研究で必須になっているものがあることや、リンパ腫ではWHO分類で必ず必要な疾患があることから、件数が多く経費を使用している。
- 継続可能な診断支援にしていくために有料化する等の意見があがったが、中央病理診断のベースが研究なため、診療と切り分けていくにはどうしたらよいかという問題点があがった。また、消耗品や人件費は研究費や事業費で賄っているため持続可能な診断支援とは言えない状況。
- 成育で行っている免疫染色を小児がん拠点病院で分担してはどうかという意見が出たが、経費面の問題があがった。診断に必要な検索項目(WHO分類や診療ガイドライン)については保険収載してもらうべきではないかという意見があがった。
5.各ブロックからの報告
各ブロックから昨年度の事業報告と今年度の事業計画について資料提供が行われた。
- 北海道ブロック(資料5-1-1)
- 東北ブロック(資料5-1-2)
- 関東・甲信越ブロック(資料5-1-3)
- 東海・北陸ブロック(資料5-1-4)
- 近畿ブロック(資料5-1-5)
- 中国・四国ブロック(資料5-1-6)
- 九州・沖縄ブロック(資料5-1-7)
- 小児がん地域計画書(資料5-2)
- 今年度の事業計画(資料5-3)
6.事前アンケート結果の報告(資料6)
米田光宏副センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)より、小児がん拠点病院連絡協議会事前アンケートの結果について報告された。
(1)小児がん拠点病院連絡協議会看護部会細則について(資料7)
嶋田せつ子看護部長(国立成育医療研究センター看護部)より、小児がん拠点病院連絡協議会看護部会細則案が報告された。審議の結果承認され、令和4年6月13日付で施行された。
(2)緩和ケア部会(仮称)について(資料8)
余谷暢之診療部長(国立成育医療研究センター緩和ケア科)より、小児がん拠点病院における緩和ケア体制について、ここ数年それぞれの施設で整備されつつあるが、各地域同士の繋がりが十分でない状況にあるため、緩和ケア部会の設置が提案された。設立については協議会で承認された。
(3)「小児がん拠点病院等の整備に関する指針」について(資料9)
(4)小児がん連携病院の指定について(資料10)
松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)より、小児がん連携病院の指定要件についてアンケート結果が報告された。
小児がん拠点病院の新規指定に伴う小児がん連携病院指定のスケジュールについて、小児がん連携病院の終了時期が異なるため、現況の指定期間を延長し、2024年より4月1日に統一することについて提案された。
(5)総合討論
- がんの子どもを守る会では会員に限らず全国の親と経験者と討議を行い、5月24日に厚生労働省と文部科学省へ小児がん対策に関する患者家族の要望書を提出した。各施設・委員・参加者に冊子の送付を予定している。
- 小児がん連携病院の類型についてもう少し患者側にわかりやすく情報公開をしてほしい。
- 院内がん登録の集計システムで疾患別・施設別の症例数がわかり、まもなく小児分の公開を始めるため、広報も含めて進めていきたい。困ったことがあったらホットラインも利用いただきたい。また、院内がん登録の集計システムについてこども病院では院内がん登録をしていない施設もあるため、検索しても出てこないこども病院があることを留め置いてほしい。
- 院内がん登録の集計システムの導線設置をわかりやすい場所に検討いただきたい。
- 少数例の公開については今後、複数年での集計を出していく方法を検討中。