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小児がん拠点病院連絡協議会 開催記録

第17回小児がん拠点病院連絡協議会概要

令和5年1月26日(木)、第17回小児がん拠点病院連絡協議会をオンラインで開催した。全国15の小児がん拠点病院および国立がん研究センターと国立成育医療研究センターの2つの小児がん中央機関代表者が参加した。(出席者名簿
開会にあたり、国立がん研究センターの中釜斉理事長、国立成育医療研究センターの五十嵐隆理事長より挨拶があった。また、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の上野琢史課長補佐より挨拶があった。

報告事項

1.小児がん中央機関からの報告

小児がん中央機関からの報告①(資料1-1
若尾文彦事業統括(国立がん研究センターがん対策研究所)より、がん情報サービス小児がんコンテンツ更新状況、小児関連ページアクセス状況、そして新整備指針の情報提供関連について報告がなされた。

  • 今までPDFだったものをページ作成とすることで、アクセス数は全体で20倍程度に増えている。このアクセス数の増加が小児がんコンテンツ全体に大きく影響しており、リニューアル後に減っていたのがリカバリーしている。
  • 小児がん冊子は各自印刷していただくようにしていたが、罹患の多い5癌腫については2月頭までに冊子を作成予定。
  • HPをより見やすくする工夫として、「小児がん」のカテゴリーを追加した。またグローバルナビに世代別情報を追加準備中。

小児がん中央機関からの報告②(資料1-2
松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)より2021年の情報公開の解析等について報告がなされた。

  • 情報公開の提出状況は160施設と、ほぼ全ての施設から回答をいただけた。
  • 2022年8月1日健康局長より発出された新整備指針の中央機関の役割で、新しくなった加わった点は以下である。全国の小児がんに関する研究開発及び臨床研究の推進・支援。治験促進に向け、治療に関する情報提供を行い、国内の連携体制を整備すること。診療支援体制について協議すること。小児がん診療・相談支援や治験に携わる者の育成整備。小児がん患者がその成長等に伴い全国どこに移住したとしても、切れ目ない長期フォローアップを受けることができる体制の整備。

2.相談支援部会からの報告(資料2

鈴木彩医療社会事業専門員(国立成育医療研究センター医療連携・患者支援センター)より相談支援事業について報告がなされた。

  • 2022年12月に相談支援部会を実施し16施設32名に参加いただいた。8月に発出された整備指針の「地域ブロックの役割」というところで、ブロックの中でも連携するように、また患者団体等の関係団体にも積極的な関与を求めるという文言が書き加えられている件についてのアンケート等について報告を行った。
  • 小児がん相談員研修については、小児がん相談員専門研修、小児がん拠点病院相談員継続研修、小児がん拠点病院相談員ブロック企画研修を実施、及び実施予定。

3.看護部会からの報告(資料3

嶋田せつ子看護部長(国立成育医療研究センター看護部)より看護部会について報告された。

  • 直近では2023年1月に第10回小児がん拠点病院連絡協議会看護部会を実施し、3施設から「チオテパを用いた時価造血細胞移植前処置による皮膚障害の予防的ケアの実際」、「小児がん患者における発達障害 発達遅延のある患児の対応」、「こども安全チェックシートの活用」についてご発表いただいた。
  • 看護部長の意見交換では、人材育成、新型コロナ感染拡大の状況での家族面会の方法や外泊・外出を安全に進める工夫についての情報共有、外来との連携・付き添いについて、パンフレット活用事例の情報共有などについて意見交換を行った。

4.病理部会からの報告(資料4

義岡孝子統括部長(国立成育医療研究センター病理診断部)より病理診断部会について報告がなされた。

  • 中央病理診断症例数の推移は、2019年に1,100例を超え微増を続け2022年には1,192例の症例診断依頼をいただいた。
  • 中央病理診断への検体提出について、「小児固形腫瘍検体提出の手引き」は現在第2.2版になっている。提出の際は手引きに沿った提出にご協力をいただきたい。また臨床試験に登録され、中央病理診断も必要な場合には、標本や施設での診断報告書の提出にご協力いただきたい。

5.緩和ケア部会からの報告(資料5

余谷暢之診療部長(国立成育医療研究センター総合診療部緩和ケア科)より緩和ケア部会からの報告がなされた。

  • 緩和ケア部会の構成メンバーを発表。各拠点病院から人選いただき緩和ケア部会を立ち上げていく。

6.「第4期がん対策推進基本計画(案)」について

(1)「第4期がん対策推進基本計画(案)」について(資料6-1
松本公一センター長より、第4期がん対策推進基本計画(案)のうち小児がんに関連した内容について報告がなされた。

  • 第4期では「誰もががんとともに自分らしく生きられるよう、全ての国民でがんの克服を目指す」が全体目標となっている。第3期との違いとしては、がん医療の中で「小児がん・AYA世代のがん対策」と「高齢者のがん対策」が別項目とされた。

(2)小児がん長期フォローアップについて(資料6-2
前項に続き、松本公一センター長より小児がん長期フォローアップについて報告がなされた。

  • 現在の小児がんの生存率は80%となっているが、そのうち40%の方に何らかの晩期合併症があるとされている。
  • 長期フォローアップは、医師・看護師だけでなく、多職種で長期フォローアップを見ていかなければいけない。
  • 拠点病院にお願いしたいことが3点。大規模観察研究へできる限り多くの症例登録をいただきたい。それを土台とし、前向きな長期フォローアップ研究のため、アンケート調査を実施予定のため、ぜひご協力を願う。LCASに関して、主幹を担当されていない施設での開催をお願いしたい。最後に、多職種の参画を進めて、成人診療科との連携も積極的に推進していただきたい。

(3)第4期がん対策推進基本計画の議論のためのドラッグラグの問題点の整理(資料6-3
国立がん研究センター中央病院小川千登世先生より、ドラッグラグの問題点の整理について報告がなされた。

  • パネル検査が保険適用になってから、2022年4月までにC-CATのデータでは、小児患者数は687例、うち標的治療の提示があるものが352例、しかし実際に標的治療薬の投与に至ったのは40例と全体の5.8%に留まった。さらに40例のうち、保険診療・治験・患者申出療養の適用は14例しかおらず全体の2%であった。成人でもがんのゲノム医療に対してのドラッグアクセスはそれほど高くはないが、小児では一段と課題。
  • 成人でもがんのゲノム医療に対してのドラッグアクセスはそれほど高くはないが、小児では一段と課題である。保険診療で使用できる薬がほとんどない、参加可能な治験が少ない、小児用量の記載がない薬剤が多く、患者申出療養の利用も困難であり多くが適用外である。
  • 日本で開発された薬を海外で先に治験や承認をされてしまうのではなく、世界に先駆けて日本で使えるようにすることが重要である。
  • これらのことを行っていくためには、特に分子標的薬の開発では成人で開発する段階で小児でも着手すること。また、企業開発を可能にする新規治療薬の小児開発に対して効果的なインセンティブの導入を行うこと。また、企業開発が困難な場合に、医師主導治験で開発するための公的予算・研究費の増額、公的な継続的実施基盤の整備が必要である。

(4)小児がん在宅医療の推進に関する取り組みについて(資料6-4
大隅朋生先生(医療法人財団はるたか会あおぞら診療所・国立成育医療研究センター小児がんセンター)より、小児がん在宅医療の推進に関する取り組みについて報告がなされた。

  • 小児がんは小児期の主要な死亡原因である。がん患者の死亡場所の推移として、在宅死亡率割合は増加しているが、一方で地域差が大きい。
  • 小児がん終末期に対する在宅医療は都市部を中心に発展していることは間違いない。さらに広げていくために、輸血を含む専門性の高い緩和ケアへの対応が必要である。病院―在宅医療機関の密な連携だけでなく、子どもと家族を地域で支える場の整備も必要である。

7.事前アンケート結果の報告(資料7

米田光宏副センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)より、小児がん拠点病院連絡協議会事前アンケートの結果について報告された。

  • 小児がん連携病院の指定について、類型1が層別化されたことについて、ブロック内の協議会等で意見を聞く機会は各ブロック設けられていた。
  • もし地域の実情を考慮し、特例として、類型1Aを設ける場合、どのような条件が必要かについては、医療施設・診療従事者・診療機能といった診療の質を問うべきとの意見が多数を占めている。
  • 新型コロナウイルスについてのアンケートは、病院の事情もだいぶ緩和されている印象。

討議事項

1.小児がん連携病院の指定について(資料8

松本公一センター長(国立成育医療研究センター小児がんセンター)より小児がん連携病院の指定についての報告がなされた。

  • 整備指針の要点について、1A1B共通して「標準的治療が確立しており均てん化が可能ながん種について、拠点病院と同等程度の適切な医療を提供することが可能な医療機関」として定義づけられている。さらに1Aの要件として年間新規症例数が20例以上、地域ブロックへの積極的な参加、成人診療科との連携のため都道府県協議会等に積極的に参加することとが別途定めている。問題となるのは、年間新規症例数が20例以上の要件である。20症例のカウント方法については、ブロック内での地域の事情に応じた基準の作成が必要なため、各ブロックで検討いただきたい。
  • 拠点病院の方々は新たな小児がん連携病院を2023年度の早い時期での選定をお願いしたい。指定日は全国一律9月1日。

第17回小児がん拠点病院連絡協議会資料

更新・確認日:2024年01月25日 [ 履歴 ]
履歴
2024年01月25日 「第17回小児がん拠点病院連絡協議会概要」を掲載しました。
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