- 日時
- 2024年07月25日(木)17:30~18:30
- テーマ
- がん患者の心臓を守ろう!腫瘍循環器医が立ち向かう3つの壁 ③静脈血栓塞栓症・心房細動
国立がん研究センター中央病院
総合内科(循環器内科)・医長 庄司 正昭
近年のがん治療の進歩は患者の生命予後の改善に大きく寄与しているが、がん治療による心血管への副作用は患者の予後の低下をもたらす。がん治療と心血管予後を両立させ、がん患者全体の予後を改善することはすなわち、Onco-Cardiologyが果たす使命の一つと言っても言い過ぎではないだろう。ここでは、臨床上問題となるがんに関連した心房細動と静脈血栓症について最新の知見を学ぶ。
1. がん診療における静脈血栓塞栓症
埼玉県立がんセンター 総合内科 医長 松居 一悠
静脈血栓塞栓症は、がんに関わる様々な要因を介して発症し、しばしばがん診療の妨げとなるだけでなくそれのみで生命予後を規定し得る。このため、静脈血栓塞栓症の早期発見と介入はがん診療に携わる全ての医療スタッフにとって重要な議題である。最新のガイドライン、大規模臨床研究および自験例を振り返りながら、がん関連静脈血栓塞栓症における諸問題とその対策について考察する。
2. がん診療における心房細動
がん研究会有明病院 腫瘍循環器・循環器内科 部長 志賀 太郎
心房細動は高齢者ほど罹患しやすく、現状の超高齢社会、そして今後もしばらくは続く患者における高齢者の高率分布を考慮すると、必然的に重要度の高い疾患対象である。そして、がん診療では、がんに対する手術、そして、種々のがん治療薬が心房細動のリスク増加に関与するため、がん診療は特に心房細動と関わり、そして、塞栓症リスクを上昇させるために、その適切な診療体制の整備が重要となる。ここではがん診療における心房細動について概説する。