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【多職種向け】 2017年

多地点合同メディカル・カンファレンス[2017-第5回]

(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 小田 一郎

ヘリコバクター・ピロリ菌感染の減少、食生活の欧米化に伴い、今後本邦における食道胃接合部がん、バレット食道がんの増加の可能性が指摘されている。その内視鏡治療適応や成績の現状と今後の展望について議論したい。

1.食道胃接合部腺がん、バレット食道がんの頻度および定義などの諸問題

国立がん研究センター中央病院 内視鏡科 吉永 繁高

欧米において食道がんにおける腺がんの割合は最近20年で急激に増加しているが、日本においてはほとんどの食道がんは食道扁平上皮がんである。ピロリ菌の保菌者割合の低下、除菌の普及などにより今後は食道腺がんの割合が増える可能性があるが現状ではわずかに増加傾向を示すのみである。また欧米と日本においてはバレット食道の内視鏡所見の定義が異なっており、その点も踏まえて頻度・定義について言及したい。

2.食道胃接合部がん、バレット食道がんに対する内視鏡治療の成績

静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科 田中 雅樹

2002年10月から2012年9月の期間に、当院で食道異接合部がんまたはBarrett食道がんに対して、初回治療としてESDを施行した70例を対象として、内視鏡治療成績を検討した。一括切除率は99%、断端陰性切除率は92%であった。偶発症として穿孔1例、後出血3例を認めたが、保存的加療可能であった。観察期間中央値61か月において、再発例を2例認め、いずれも脈管侵襲陽性例であった。5年全生存割合は86%、疾患特異的生存割合は97%であった。

3.食道胃接合部腺がん、バレット食道がんの転移リスク~多施設共同研究の結果から~

大阪府立成人病センター 消化管内科 石原 立

接合部腺がんおよびバレット食道がんに対する内視鏡治療の適応はガイドラインにも明記されていない。我々は、適応を知る上で重要な転移リスクを、接合部がんと食道腺がん458例で検討した。転移と関連していた因子は、1脈管侵襲、2粘膜筋板以下の未分化型成分、3病変径であった。因子1,2を持たないSMM/LPM/DMMがん186例には転移を認めなかった。因子1,2を持たない、3cm以下のSM1がん(500μm以下の浸潤)32例にも転移を認めなかった。この知見をもとに内視鏡治療の適応を確立していく必要がある。

更新・確認日:2023年08月30日 [ 履歴 ]
履歴
2023年08月30日 ビデオを削除いたしました。
2017年04月07日 ビデオを掲載しました。
2017年03月13日 抄録を更新しました。
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