- 日時
- 2017年05月11日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 新規抗がん剤の副作用対策について
(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 先端医療科 山本 昇
1.がん薬物療法の副作用と対策
国立がん研究センター中央病院 先端医療科 山本 昇
細胞傷害性抗がん剤が主体であった20年前は、血液毒性、消化器毒性が副作用の大半を占め、その他の非血液毒性は対症療法に終始、発現のタイミング・頻度においてもかなりの共通性が見られた。その後、G-CSF製剤、5-HT3受容体拮抗薬などの支持療法の進歩により、細胞傷害性抗がん剤による薬物療法のfeasibilityは劇的に向上した。しかしながら、2000年以降の分子標的薬、2015年から導入された免疫療法薬による副作用対策は、従来とは異なり、薬剤の特性・発生メカニズムの理解が重要である。本会では、分子標的薬、免疫療法薬の副作用対策について最近注目されているものを中心に二人の演者から解説していただく。
2.分子標的薬の副作用と対策
国立がん研究センター中央病院 先端医療科 小山 隆文
分子標的薬による副作用は多岐にわたるものの、予防法はきわめて少ない。対症療法に終始し、薬剤の減量から中止に至ることも多い。しかしながら、分子標的薬はその高い効果から投与継続が優先される傾向にある。副作用をきたす分子機構、病態生理を理解することで、重症例、コントロール困難例や非典型例に対しても、迅速かつ適切に対応できる可能性がある。最近の分子標的薬の特徴的な副作用について紹介する。
3.免疫チェックポイント阻害療法(がん免疫療法)の副作用と対策
国立がん研究センター中央病院 先端医療科 北野 滋久
免疫チェックポイント阻害剤によって特有の免疫関連有害事象(irAE)を生じることがある。同剤によって自己抗原を認識するT細胞が誤って活性化されることや自己抗体が産生されることによって自己の臓器(細胞)が障害を受けることが主たる機序と考えられている。各々のirAEの頻度は高くないものの、有害事象は全身性に多岐にわたり、ときに重篤化するため、使用に際しては診療科横断的かつ各職種のスタッフによるチーム医療体制を構築することが推奨される。