- 日時
- 2017年12月14日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 免疫モニタリング
(国立がん研究センター東病院発信)
司会 国立がん研究センター東病院 呼吸器内科 葉 清隆
がん薬物療法において、免疫チェックポイント阻害剤によるがん免疫療法は目覚ましい進歩を遂げている。しかしながら、治療効果が得られる集団は限られており、今後のより効果的ながん免疫療法開発のための免疫モニタリング研究の現状と展望について議論する。
1.当院における免疫モニタリングの概要
国立がん研究センター 先端医療開発センター 新薬臨床開発分野 福岡 聖大
近年、免疫抑制機構を標的としたがん治療で複数のがん種において著しい臨床効果をもたらした抗PD-1/PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体に代表される免疫チェックポイント阻害薬の登場により、がん免疫療法が非常に注目されている。しかし、臨床効果は単剤で10-40%程度であり、すべての患者に効果を認めるわけではない。そこで我々は、免疫療法を受けた個々の患者の免疫状態を解析することにより、層別化や新規治療につながる知見を得るべく、免疫モニタリング研究を行っている。本発表では、概要を発表する。
2.がん免疫研究における最新解析方法
国立がん研究センター 先端医療開発センター 免疫TR分野 鎌田 貴裕
免疫細胞は非常に不均一な細胞集団であり、特に腫瘍局所ではeffector cellだけでなくsuppressive cellも多く混在しており更に不均一性に富む。これらの不均一な免疫細胞を詳細に解析するためには1細胞(Single cell)レベルでの検討が重要である。従来、Single cellレベルの解析には主にflow cytometryが使用されてきたが、さらにマルチマーカーな解析を目指して様々な機器が開発されている。当研究室ではFACSymphony, CyTOF (mass cytometory), single cell RNA sequencingといった最新の解析方法に取り組むことで不均一な腫瘍局所免疫細胞の解析を行っている。
3.当院における免疫モニタリングの解析データ
国立がん研究センター 先端医療開発センター 免疫TR分野 杉山 栄里
当院で現在進行中の免疫モニタリングでは、実際の症例から抽出した腫瘍浸潤リンパ球を用いて、抗腫瘍免疫応答の攻撃の要となるCD8陽性T細胞(キラーT細胞)や、抑制活性を持つ制御性T細胞の割合、それらにおける免疫チェックポイント分子や共刺激分子の発現状況を解析することで、バイオマーカー探索を行っている。今回、実際の解析データの一部について紹介する。