- 日時
- 2017年05月25日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 食道がん治療における陽子線治療の有効性と可能性
(国立がん研究センター東病院発信)
司会 国立がん研究センター東病院 放射線治療科 秋元 哲夫
1.食道がんに対する標準的化学放射線療法
静岡県立静岡がんセンター 消化器内科 對馬 隆浩
食道がんに対する根治的治療は外科切除が中心であるが、主に欧米から外科切除の代替として化学放射線療法の有効性が示されてきた。本邦においても、Stage Iに対するJCOG0502、JCOG0508、Stage Ⅱ-Ⅲに対するJCOG0909など化学放射線療法の検証試験が行われ、欧米とは異なるエビデンスを構築しつつある。本発表において、本邦における化学放射線療法の開発と現在の標準的治療ついて触れる。
2.食道がんに対する陽子線治療
筑波大学附属病院 放射線腫瘍科 石川 仁
食道がんに対する根治的な同時化学放射線療法後、長期生存例に生じる心臓と肺の晩期障害の克服が治療成績およびQOL改善のために必要である。また、これらの障害は照射される心臓や肺の体積および線量が関与することが知られている。陽子線はX線と比べて線量集中性が良好であり、これらの有害事象を軽減することが期待できる。当院でこれまで行ってきた同時化学療法併用の陽子線治療成績について報告する。
3.食道がんに対する陽子線治療の有効性とその可能性
国立がん研究センター東病院 放射線治療科 秋元 哲夫
食道がんに対する標準治療は手術であるが、手術ができないまたは希望しない場合の選択肢として化学放射線療法が施行されている。食道を温存可能であるため、治療に伴う侵襲だけでなく、治療以後の食生活を含めてQOL維持にメリットがある。しかし、治療成績や有害事象には改善の余地が多く残されている。その改善に一つの方法として優れた物理学的により心臓や正常肺への線量低減が可能な特性陽子線治療があり、その有効性の報告も認められ始めている。今回の多地点メディカル・カンファレンスでは、“食道がんに対する陽子線治療”をテーマに、X線を用いた化学放射線療法の立場を含めてその可能性を含めて討議したいと考えている。