- 日時
- 2017年06月08日(木)17:30~19:00
- テーマ
- 臨床医に必要な生物統計学の基本
(国立がん研究センター中央病院発信)
司会・講師:国立がん研究センター 研究支援センター 生物統計部 研究員 水澤 純基
タイトル:「がん臨床試験を解釈するために知っておくべき生物統計学の基礎知識」
普段、各診療科で実施されている抄読会で、論文の結果の解釈に疑問を抱いたことはないだろうか。また、研究結果を学会発表・論文化する際に、統計的観点からの指摘に苦労した経験をお持ちの方も少なくないだろう。本カンファレンスでは、レクチャー形式により臨床研究の結果の解釈に必要な生物統計学について実例を踏まえて解説する。
本講義は大きく3つのトピックについて順に解説する予定である。
まず、研究結果の解釈のために最も重要な概念である「交絡」について説明する。また、交絡と混同しやすい概念である「交互作用」についても、実例と共に整理する。
次に、仮説検定とp値の意味について説明する。p値を知っていても、その意味を説明できる研究者はそう多くないだろう。講義終了時に、p値の意味を説明できることを目標としたい。また、検定と推定の密接な関係を説明する。実は、区間推定(信頼区間)の結果を確認すれば、検定結果を確認しなくとも統計的有意差の有無がわかる。その判断の仕方についても解説し、確認問題により理解を深めたい。
最後に、ランダム化比較試験の優越性試験と非劣性試験の考え方について説明する。非劣性試験とすべき条件や、非劣性が統計的に証明される条件について整理する。同時に、ランダム化比較試験の主たる解析法の重要な概念であるITTについても説明する。