- 日時
- 2021年04月22日(木)17:30~19:00
- テーマ
- がん医療での意思決定
(岩手県立中央病院発信)
司会 岩手県立中央病院 がん化学療法科長 加藤 誠之
1. はじめに 医療意思決定とは
岩手県立中央病院 がん化学療法科長 加藤 誠之
がん領域でのよく知られた議論から説き起こし、医療意思決定の背景となる意思決定原理を考察する。30年間、医学界で主流の座を占めてきた科学的根拠(Evidence Based Medicine ; EBM)に基づく意思決定の限界を探り、医療分野での意思決定を意思決定理論、厚生経済学、社会選択理論の知見と対比し、医療分野での意思決定の問題点に関して議論する。
2. 意思決定における行動経済学的な知見
公立大学法人 岩手県立大学 総合政策学部 教授 小井田 伸雄
本報告では、医療における意思決定の特徴を、主に経済学(意思決定理論・行動経済学)の視点から概観する。まず、近年の経済学における、現実の人間の意思決定が非合理的あるいは限定合理的であるという主張は、医療における意思決定にも妥当することを述べる。次に、プロスペクト理論、サンクコスト効果、フレーミング理論、利用可能性ヒューリスティックスなど、行動経済学における基本的な概念を説明する。最後に、これらに基づいて、患者・医療者の共同作業としての意思決定のあり方を提案する。
3. 医療意思決定に関わる属性の効果について
岩手県立中央病院 がん化学療法科長 加藤 誠之
これまで、医療と行動経済学の接点と言えば、ヒューリスティックや割引、ナッジといった概念を用いたBehavioral Medicineが中心であった。がん医療に関しても、ヒューリスティックがより強く関与することが想定される。今回、われわれが行った大規模な調査により明らかとなった、患者、家族、医師、看護師・薬剤師という属性で異なった発現をするヒューリスティックに関して報告する。