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【多職種向け】 2021年

多地点合同メディカル・カンファレンス[2021-第8回]

(埼玉県立がんセンター発信)
司会 埼玉県立がんセンター 五木田 茶舞

昨今、がん自体、あるいはがん治療に伴って生じる骨・関節や筋肉などの運動器障害である「がんロコモーティブシンドローム」が提唱され、その予防と治療の重要性が認識されている。がん患者が治療を継続しながら、生活の質や日常生活動作を維持・改善するために、運動器の専門家である我々やコメディカルが果たすべき役割について考える。

1. 当院におけるがんロコモティブシンドロームに対するリハビリテーションの実際

埼玉県立がんセンター 理学療法士 池田 啓也

当院では2018年8月から整形外科医、看護師、理学療法士による運動器ケアチームが、病棟看護師と理学療法士がピックアップした患者を対象に、「がんロコモ回診」を行っている。回診時にリハビリテーション介入対象となった患者には理学療法士による自主トレーニングを含む運動指導やADL指導を行っている。がんロコモ患者は、運動機能低下に至った経緯や病状の進行速度も多様であり、指導内容やリスク管理もそれぞれ異なる。本発表では当院理学療法士によるがん運動器ケアの取り組みと指導内容の工夫や注意点などをご紹介する。

2. 頭頸部・口腔外科周術期リハビリテーションにおけるPS低下・二次性サルコペニア予防に対する試み(栄養と運動機能の視点から)

埼玉県立がんセンター 理学療法士 吉原 広和

頸部・口腔外科症例では、周術期栄養療法・摂食嚥下療法と共に運動療法がPS維持・二次性サルコペニア予防に担う役割は大きいと考えられている。当院では入退院支援センターの開設に伴い、手術侵襲の高い頭頸部外科・口腔外科症例に対し周術期リハビリテーションを提供している。今回、体組成分析やPhysical-Evaluationをもとに調査した「栄養状態と活動性・筋量の関連」「運動機能とmGPS、BMIとの関連」「PS低下と二次性サルコペニア進行のリスク因子」の結果を踏まえ、目指すべきがん運動器ケアについて考察を加えて報告する。

3. がん治療施設におけるがん運動器診療の可能性

埼玉県立がんセンター 整形外科・リハビリテーション室 小柳 広高

超高齢化社会を迎えつつある本邦において、二人に一人ががんに罹患するといわれており、高齢者が多いがん患者の運動器機能の維持・向上は、社会全体における喫緊の課題である。質の高いがん運動器診療はすべてのがん患者のQOL、ADLの向上に寄与しうると考えられ、当センターでは「がんロコモ回診」、「骨粗鬆症外来」、「骨転移外来」を通して、がん患者の運動器を支えるシステム構築への取り組みを開始している。今回、それら運動器診療の取り組みと課題、がん運動器診療の今後の展望についてご紹介する。

更新・確認日:2023年08月30日 [ 履歴 ]
履歴
2023年08月30日 ビデオを削除いたしました。
2021年06月02日 ビデオを掲載しました。
2021年05月14日 抄録を更新しました。
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