- 日時
- 2021年11月11日(木)17:30~19:00
- テーマ
- がん専門病院における医療安全の取り組み
(栃木県立がんセンター発信)
司会 栃木県立がんセンター 藤田 伸
厚生労働省が定めた「医療安全推進週間」の基準日“11月25日”を二週間後に控え、奇しくも本テーマが与えられた。「がん専門病院における医療安全」を考えるにあたり、埼玉、千葉、栃木のがんセンターが協力し合い「専門病院ならでは」の強みや弱みに着目して発表題材を検討した。がん薬物療法における安全管理体制、手術における体内遺残事故防止の取り組み、地域との診療連携、全死亡症例チェック体制など多様な内容を発表する。
1. がん薬物療法中に生じる重篤な有害事象(SAE)の全例登録と管理
千葉県立がんセンター 外来化学療法科 辻村 秀樹
がん薬物療法中のSAEは多彩であり、組織的な管理は難しい。当院では「抗がん薬投与後1ヶ月以内の緊急入院」をSAEと定義し、事務的に全例を登録し解析する活動を行ってきた。2012年以来の登録数は4500件を超え、把握した問題に対し様々な視点からの対策を立ててきた。今回は安全管理の視点から当院の活動内容を紹介する。
2. 埼玉県立がんセンターにおける医療安全の取り組み
埼玉県立がんセンター 医療安全管理室 木村 八恵
2017年度に発生した体内遺残事故以降、閉創前タイムアウト・術後レントゲン画像の複数職種による確認を導入した。しかし昨年、組織回収袋の体内遺残が発生したため、診療材料およびカウント表の運用の見直しを行っている。
また、肝炎診療歴がなく、肝臓がんを併発していないウィルス肝炎患者に対し、がん診療後に地域の肝疾患診療連携病院に紹介している。2019年の取り組み開始後、治療方針未定患者の割合は減少してきている。
3. 全死亡症例チェック体制整備への取り組み
栃木県立がんセンター 医療安全推進室 宮原 秋
当センターの年間死亡退院者は約400名である。その多くが「がん死」であるが、「死亡及び死産の確実な把握(当該事例が管理者に遺漏なく速やかに報告される体制)」として取り組んでいる「死亡症例報告書」を用いた事故懸念事案スクリーニング体制を紹介する。