- 日時
- 2022年01月27日(木)17:30~18:30
- テーマ
- がんゲノム医療の現状と展望
(国立がん研究センター中央病院発信)
司会 国立がん研究センター中央病院 臨床検査科 角南 久仁子
がんゲノムプロファイリング検査が保険適用され、2年半以上が経過しました。がんゲノム情報管理センターの統計によると2021年10月末までに23,000人以上の患者さんが検査を受けています。がんゲノム医療のひろがりによって、がん診療はどう変わったのか、今後のゲノム医療はどこへ向かうのか、現状と課題についてご講演いただきます。
1. がんゲノム医療の軌跡と克服すべき課題
国立がん研究センター中央病院 先端医療科 小山 隆文
がんゲノム医療の推進へ向け医療提供の整備がすすみ、がん診療において多数の遺伝子情報を元に治療を選択することが多くみられるようになった。包括的がんゲノムプロファイリング検査が実施される機会が増加しており、エキスパートパネルへの負荷が課題となってきている。また、遺伝子変異にマッチした薬剤は治験薬であることが多く、治験へのアクセスも課題の1つである。これらの課題を踏まえ、がんゲノム医療の次のステップに関して概説する。
2. 遺伝性腫瘍に対するがんゲノム医療のインパクト
国立がん研究センター中央病院 遺伝子診療部門 平田 真
2013年に米国の女優が遺伝性乳がん卵巣がんを公表し予防的手術を受けて以来、本邦でも遺伝性腫瘍の認知度が大きく上昇した。さらに2018年にコンパニオン診断としてBRACAnalysisが、2019年にがん遺伝子パネル検査がそれぞれ保険収載され、各診療科医師により遺伝性腫瘍への対応が求められる時代となった。これまで想定しなかった臨床的背景から遺伝性腫瘍が判明する症例も経験する。がんゲノム医療の普及による遺伝性腫瘍診療の変化と将来像について報告する。