- 日時
- 2022年03月24日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 各種がんにおけるConversion Surgeryを考える
(岐阜大学医学部附属病院発信)
司会 岐阜大学医学部附属病院 消化器外科 高橋 孝夫
各種がんにおいて分子標的薬、あるいは免疫チェックポイント阻害剤を含めた化学療法が進歩し、生存期間は延長していると思われる。切除不能がんが化学療法により縮小し、根治術を行う、いわゆるConversion Surgeryという概念が浸透してきている。当院では集学的治療の一環として、このConversion Surgeryをいろいろながん腫で積極的に施行してきた。その中でも、大腸がん・胃がん・膵がんを中心に、臓器横断的にConversion Surgeryの治療成績や今後の展望について議論する。
1. 胃がんに対するConversion Surgery
岐阜大学医学部附属病院 消化器外科 安福 至
切除不能な遠隔転移を伴うcStage IVB胃がんに対する標準治療は化学療法である。免疫チェックポイント阻害剤を含む近年の化学療法レジメンの開発によりcStage IVB症例の生存期間は延長してきているが化学療法単独で根治が得られる症例は少ない。近年化学療法が奏効したcStaeg IVB胃がん症例に対して根治を含めた長期生存を期待し、R0切除を目指して手術を適応するconversion surgeryの有用性が報告されている。この胃がんに対するconversion surgeryの現状について近年のエビデンスとともに解説する。
2. 膵がんに対するConversion Surgery
岐阜大学医学部附属病院 消化器外科 東 敏弥
膵がん診療ガイドライン2019、NCCNガイドライン2021では、切除不能局所進行膵がん(UR-LA)に対するConversion surgeryについては治療の選択肢の一つと記載されているが、切除不能遠隔転移膵がん(UR-M)に対するConversion surgeryについては明確な記載はない。また、Conversion surgeryの手術適応や治療方針が施設毎で異なることや、予後改善に有効かどうかのエビデンスレベルも高くないことなどの今後解決すべき課題も多い。今回、UR-Mも含めた切除不能膵がんに対するConversion surgeryについて、当院の治療方針・治療成績を提示し、今後の課題と展望についても考察する。
3. 大腸がんに対するConversion Surgery
岐阜大学医学部附属病院 消化器外科 田島 ジェシー雄
切除不能大腸がんに対し、分子標的薬を含め化学療法が進歩し、生存期間は延長し、30ヵ月を超えるようになってきた。更なる生存期間延長や治癒を目指す場合には、化学療法で腫瘍を縮小させ、根治術を狙う、つまりConversion Surgeryが重要な役割を果たすと我々は考えている。当科では切除不能大腸がん、特に肝転移に対し積極的にConversion Surgeryを施行してきた。当科の治療成績を紹介し、予後に関する影響や至適レジメン、そして今までのエビデンスを考慮し、今後の展望について述べる。