- 日時
- 2022年09月22日(木)17:30~18:30
- テーマ
- 悪性胸膜中皮腫における集学的治療について-内科、外科、放射線治療科の立場から-
(埼玉県立がんセンター発信)
司会 埼玉県立がんセンター 胸部外科 平田 知己
悪性胸膜中皮腫の発生は主にアスベスト暴露が原因で、発症は暴露から30~40年後とされ、予後は極めて不良、今後も患者が増加することが予想されている。薬物療法ではCDDP+PEMからNivolumab+Ipilimumab、外科治療では胸膜肺全摘術から胸膜切除/肺剥皮術へ、放射線治療では3D-CRTからIMRTへと変遷しつつある。治療成績の向上にはmultimodality therapyが重要と考えるが、詳細な治療のエビデンスの確立には至っていない。今回は化学療法、外科治療、放射線治療のそれぞれの立場からreal worldの治療の現状について論議したい。
1. 悪性胸膜中皮腫に対する化学療法の治療成績
埼玉県立がんセンター 呼吸器内科 木田 言
切除不能・術後再発例の悪性胸膜中皮腫に対しては抗癌剤を用いた化学療法が治療の主体となる。当院における悪性胸膜中皮腫に対する化学療法の治療成績について、後方視的に検討し報告する。
2. 悪性胸膜中皮腫に対する手術症例の治療成績
埼玉県立がんセンター 胸部外科 平田 知己
当センターでは過大な手術侵襲およびQOLの低下、低根治性を背景に悪性胸膜中皮腫に対する外科治療を選択して来なかった。近年、有効な化学療法、放射線治療の進歩、外科治療により比較的良好な成績が報告され、2015年より外科治療を含む集学的治療を開始した。手術はEPPを第一選択とし、耐術能のない症例を対象にP/Dを施行している。2022年5月までに手術を施行した上皮型悪性胸膜中皮腫は16例でEPPが10例、P/Dは6例であった。手術関連死亡や90日死亡はなかった。外科手術の治療成績を中心に報告する。
3. 悪性胸膜中皮腫に対する術後IMRT
埼玉県立がんセンター 放射線治療科 工藤 慈弘
2017年よりEPP後の術後片側胸郭照射を9例に対して施行した。悪性胸膜中皮腫の術後照射は頭尾に広く、また健側の肺、心臓、肝臓や腎臓などの線量を下げるために通常の3D-CRTでは困難であり、IMRT(強度変調放射線治療)が有用である。当院における治療方法と再発形式を含む治療成績について、放射線治療計画の視点から検討し報告する。