- 日時
- 2022年03月10日(木)17:30~18:30
- テーマ
- ロボット悪性腫瘍手術の現況
(静岡県立静岡がんセンター発信)
司会 静岡県立静岡がんセンター 胃外科 部長 坂東 悦郎
ロボット支援下内視鏡手術(通称:ロボット手術)は、消化器外科領域においては2018年に主な術式が保険収載され、現在急速に導入が拡がっている。ロボット手術には、これまで行われてきた手術の安全性をより高めることへの期待が高い。それぞれの臓器の特性、導入状況、現況、未来への展望などに関して議論いただきたい。
1. 食道がんに対するロボット支援下手術の現状と取り組み
静岡県立静岡がんセンター 食道外科 眞栁 修平
ロボット支援下食道悪性腫瘍手術は、2018年に保険診療として認可され、急速に導入が進んでいる。食道がんにおいては縦隔リンパ節、なかでも転移頻度の高い反回神経リンパ節の郭清の精度向上、ならびに郭清に伴う合併症(反回神経麻痺)の軽減が期待されている。当科では2021年4月からロボット手術を導入したが、未だlearning curveの途上である。今後、本邦からの更なるエビデンスの創出により、手術成績の向上が期待されるロボット手術の現状と当科の取り組みについて報告する。
2. 胃がんにおけるロボット支援下手術の臨床試験・保険収載・実際の適応
静岡県立静岡がんセンター 胃外科 坂東 悦郎
当センターではロボット支援下胃切除に関して、保険収載前から単施設の安全性試験を行ってきた。また先進医療Bとして行われたロボット胃切除の腹腔鏡胃切除に対する優越性を検証する多施設共同前向き試験に参加してきた。後者の結果は腹腔鏡下手術と比べてロボット手術が術後合併症を減らすことを示した画期的な試験となった。以上の臨床試験の総括、保険収載、実際の手技、当センターの現段階での適応、今後の展望などに関して提示する。
3. 直腸がんに対するロボット支援下手術の現況
静岡県立静岡がんセンター 大腸外科 日野 仁嗣
本邦では2018年4月にロボット支援下直腸手術(RS)が保険収載され、症例数は増加傾向にある。現在までに他アプローチに対するRSの優越性を示す強いエビデンスはないものの、短期的には機能温存、および技術的難易度の高い症例での有用性が示唆されている。長期予後については、さらなる症例集積に伴うエビデンスの構築が待たれる。当科では2022年1月までに約1300例のRSを実施してきた。本発表ではRSの現況、および当科での手術手技について提示する。