- 日時
- 2022年04月14日(木)17:30~18:30
- テーマ
- EGFR阻害薬に伴う皮膚障害マネジメント
(四国がんセンター発信)
司会 四国がんセンター がんゲノム医療センター 部長 仁科 智裕
がん治療の分子標的薬に起因する皮膚障害は、治療の継続を念頭においてコントロールすることが求められる。医師(治療医・皮膚科医)・薬剤師・看護師のチーム医療が重要であるが、具体的な対処方法については、いまだ試行錯誤しているのが現状である。今回、EGFR阻害薬に伴う皮膚障害の対策ついて、当院ならではの対応方法を、医師、薬剤師から紹介する。
1. EGFR阻害薬による皮膚障害の見方について
四国がんセンター 皮膚科 藤山 幹子
ざ瘡様皮疹はEGFR阻害薬により生じる無菌性の毛包炎である。しかし、時間の経過とともに黄色ブドウ球菌性の毛包炎に置き換わる。また、EGFR阻害薬により生じる爪囲炎も無菌とはいえず、細菌ときに真菌も検出される。ステロイド外用剤は、細菌感染を悪化させる作用を有する。EGFR阻害薬投与中の毛包炎、爪囲炎の治療においては、適宜ステロイド外用剤を中止して抗菌剤治療に変更することが必要である。
2. 外来での診療の工夫、通院治療室での対応の工夫
四国がんセンター 呼吸器内科 原田 大二郎
EGFR阻害薬において、高頻度で発生する皮膚障害対策を適切に行う事は、進行がん患者の長期生存のために重要である。皮膚科・腫瘍内科有志コンセンサス会議からの「EGFR阻害薬に起因する皮膚障害の治療手引き」を基に四国がんセンターにおいては、院内統一マニュアルや院内パス、パンフレットを作成し統一したケアを提供できるよう努めている。その中で臨床現場の問題点を解消する事を目的に「皮膚障害チェックシート」を昨年作成し、患者教育、チーム医療の推進、標準的なケアを支援するツールとして活用している。入院でのケアの導入から外来での継続においてチーム医療はますます重要になっており当院での実践を紹介する。
3. 多職種協同による皮膚障害対策マニュアル作成と運用
四国がんセンター 薬剤部 亀岡 春菜
EGFR阻害薬に起因する皮膚障害マネジメントにおいては、チームによるきめ細やかなケアや指導が重要となる。当院では、医師・看護師・薬剤師協同のもと、皮膚障害対策マニュアルを作成しており、各医療スタッフが統一した対応をとれる体制を構築している。マニュアルには皮膚症状毎の薬物療法やスキンケアについてまとめられており、マニュアルを用いた院内教育や患者指導等、実際の運用について紹介する。