- 日時
- 2022年02月10日(木)17:30~18:30
- テーマ
- HBOCの遺伝カウンセリングにおける病院連携体制
(群馬県立がんセンター発信)
司会 群馬県立がんセンター 乳腺科 柳田 康弘
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の治療薬やリスク低減手術が保険適応となり、BRCA検査がより重要となった。検査結果によっては遺伝カウンセリングが必要となるため、厚労省はカウンセリングができる体制の確立、またはできる施設との連携を検査の必須条件とした。乳がんは、広く一般病院でも診療が行われているが、カウンセリング体制が整っている施設は少ない。そこで、がん遺伝カウンセリング外来を開設している当センターとの地域の病院間で連携体制を確立した。現状を報告する。
1. 当センターにおけるHBOC診療の変遷
群馬県立がんセンター 乳腺科 柳田 康弘
2010年よりがん遺伝カウンセリング外来を開設し、HBOC診療を始めた。HBOC診療チーム(のちに遺伝性腫瘍診療チームへ)の結成、定期カンファの開催。2014年より保険外診療として倫理員会の承認を得て、リスク低減卵巣卵管切除、リスク低減乳房切除を始めた。その後、遺伝カウンセラーの採用、HBOC患者会の結成し、HBOC診療を行っている。
2. 地域中核病院で乳がん診療を行う場合のHBOC診療の難しさ
公立藤岡総合病院 外科 松本 明香
当院は埼玉県北西部との群馬県境にある399床の地域中核病院である。2022年1月現在、当院でも18名がBRCA検査を受けており、BRCA変異患者2名とVUS患者1名が確認されている。BRCA変異患者1名とVUS患者1名が病院連携体制を利用して群馬県立がんセンターの遺伝カウンセリング外来を受診した。
その経験を踏まえ、地域中核病院で乳がん診療を行う場合のHBOC診療の難しさについて、利用させて頂いている病院連携体制の利点について報告する。
3. 遺伝カウンセリングにおける病院連携体制の確立と現状
群馬県立がんセンター 乳腺科・遺伝診療科 宮本 健志
2020年4月にBRCA検査の診療報酬改定があり、初発の乳がん患者さんを対象としてBRCA検査が保険で行えるようになった。厚労省はBRCA検査を行うにあたり、カウンセリングを行える施設と連携を必須とし、連携体制の構築を条件とした。当院は、近隣の施設からの要望に応える形で、連携体制を構築した。連携する条件は、以下の3つとした。1. 当院主宰のBRCA検査とHBOC診療の勉強会に、担当医と病院事務局の参加。2. 各診療行為の保険請求とそのタイミングを理解し、連携施設とカウンセリング施設間における費用を取り決める。3. 当院で用意したBRCA検査の説明文書を、連携施設でも共通で使用する。
4. 病院連携体制の契約と診療費について
群馬県立がんセンター 医事課 八木 美香
BRCA1/2遺伝子検査の実施にあたっては、「遺伝カウンセリング加算の施設基準の届出を行っている保険医療機関、または当該機関と連携体制を有した保険医療機関で実施すること」が定められております。遺伝カウンセリングの届出施設として、円滑に遺伝カウンセリングを実施するための連携医療機関との取り決めや契約について報告いたします。