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地域相談支援フォーラム in 近畿 「がん患者団体との『連携』と『協働』」開催記録(その2)

更新・確認日:2016年02月22日 [ 履歴 ]
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2016年02月22日 掲載しました。

■地域におけるがん患者団体等との連携と協働の現状について:各府県報告

岡村理さん(滋賀県立成人病センター)の司会で進行しました。

和歌山県

和歌山県 地域におけるがん患者団体等との連携と協働の現状について
発表者:腰田典也さん(公立那賀病院)
県内のがん相談支援センター(国指定・県指定全9施設)にアンケートを行った結果が報告されました。◎すべての拠点病院に院内がんサロンが設置され、7施設でサロン開催の支援や協働、3施設ではがん患者会の支援をしました。◎市民団体が主催する「和歌山県がん患者ピアサポーター養成研修」に平成25年からこれまで4施設が協力しました。また、◎平成24年からがんサロン担当者、がん患者会、市民団体、行政、がん相談支援センターなどが参加する「がんサロンネットワーク」が発足しました。◎平成26年にはすべてのがん相談支援センターが参加するピアサポーターとの合同勉強会が企画・開催されるなど県単位の規模の取り組みも行われました。◎和歌山県立図書館と和歌山医科大学附属病院の共催による公開講座の取り組みもありました。取り組みの中で問題点も見えてきました。がんサロンについては、サロンを企画・運営する患者さんがなかなかいない、運営にかかる費用、がん相談支援センター以外の当該施設スタッフの関わりが薄いなどの運営の苦労がうかがえたものの、がんサロンに関する回答が多く、がんサロンが支援や協働の場として大きな役割を占めていると考えられました。院外のがんサロンの支援や協働をしている施設はありませんでした。またがん相談支援センターへの依頼は市民団体から各施設に個別に行われていたことが明らかになったとのことです。

滋賀県

滋賀県におけるがん患者団体等との連携と協働の現状について
発表者:木村由梨さん(滋賀医科大学医学部附属病院)
平成20年に県内の患者会を束ねて発足した、滋賀県がん患者団体連絡協議会との連携・協働について紹介されました。滋賀県がん診療連携協議会は平成21年の設置時より、滋賀県がん患者団体連絡協議会の協力を得て運営されており、滋賀県がん対策推進計画では、平成24年までにすべての拠点病院でがん患者サロンを設置することが明記されました。本年度にはがん診療連携拠点病院がない空白医療圏においてもサロンが設置され、すべての二次医療圏にサロンが設置され、高齢で、交通の便が悪い方でも患者サロンにアクセスしやすくなりました。すべてのサロンが、滋賀県がん患者団体連絡協議会によって主催され、各拠点病院等が協力して運営されており、滋賀県が発行する広報誌には、県内どこのサロンでも参加できること、サロンが病院との連携で運営されており安心して利用できることなどが記載されています。がん相談支援センターとサロンは互いに紹介しあう信頼関係が築けており、評価の共有も行っているとのことです。

奈良県

奈良だからできた患者・医療者・行政連携と協働の成果と課題
発表者:川本たか子さん(奈良県立医科大学附属病院)
奈良県では奈良県がん対策推進協議会には患者さんが委員として参加しており、奈良県がん対策推進協議会では患者会代表等との懇談会を設けていること、県内には8カ所の医療機関と3つの保健所で開かれています。もともとサロンは、患者さんからの熱烈な医療機関へのアプローチにより開催されるようになり、院外のサロンの設置、「カフェ」や患者会活動に発展していったとのことです。患者・医療者・行政の三者がそれぞれに役割を担って活動しており、課題もありますがそれぞれの顔が見える関係を維持しながら常に連携と協働を意識しながら前向きに取り組んできたこと、行政、特に保健師さんが医療機関と患者会のつなぎ役として重要な役割を果たしてくださっていることも紹介されました。「コンパクトな奈良だからこそできた」として、患者・医療者・行政三者の連携と協働を意識しながら前向きに取り組んでいると締めくくられました。

兵庫県

兵庫県におけるがん患者団体等との連携と協働の現状について
発表者:橋口周子さん(兵庫県立がんセンター)
県内の国指定・県指定の拠点病院等47施設へのアンケートの結果、患者サロンや患者会がある施設はまだ一部にとどまっていること、ただ国指定の施設では全施設で患者サロンまたは患者会があり、がん相談支援センターとしての関わりは多岐にわたっていたことから、少しずつ連携や協働も広がっているのではないかとの現状報告がありました。
また、「兵庫県がん相談実務者ミーティング」と「ひょうごがん患者連絡会」との協働によるピアサポーターの活用事業について現状と課題が紹介されました。「ひょうごがん患者連絡会」は県内の任意の患者会がメンバーとなっている連絡会で、具体的な協働を模索する中では、顔が見えない状況でスタートしたため、窓口が不明確であったこと、多数の患者会による緩やかな連絡会であるため、「ピアサポート」への理解やスタンスが患者会個人によってさまざまであることなどから、ピアサポーターへの活動を依頼するとしても医療者側の不安が大きいこと、この連携事業の主体や責任の所在が曖昧であることなどの問題が顕在化しました。問題解決に向けて、ピアサポートを行う上での規約を作成し、ピサポーターの目的、役割、責任の所在、具体的な業務や流れについてのコンセンサスづくりを行っていることが報告されました。

京都府

地域におけるがん患者団体等との連携と協働の現状について
発表者:高下裕子さん(京都大学医学部附属病院)
京都府では、京都府がん対策推進計画に基づいてオール京都でがん対策の推進を行っています。府内21カ所のがん相談支援センターがありますが、病院では相談しにくい内容への支援を強化するため、平成25年に「京都府がん総合相談支援センター」が開設されました。京都府がん対策推進府民会議情報提供充実対策部会で作成した「京都府がん情報ガイド」でもがんサロン、患者会を紹介しており、拠点病院や市町村、患者会や薬局等で配布されています。
患者同士の支え合いの場として、15の患者会、33カ所のサロン、がんサロンピア・サポーター養成講座の運営が行われていますが、京都市に人口と医療資源が集中しているため、サロンの開催も南部に集中する傾向があり、北部地域でのがんサロンを増やしていくことが今後の課題とのことです。府内で開催されるがんサロンは一覧のカレンダーを作成し、調剤薬局などで配布したりもされています。ピア・サポーター養成講座の状況等については、意欲のある参加者を相談員がサポートすることで、新しい患者会が発足するなど、院内サロンの充実をはかることができていると報告されました。

大阪府

大阪府がん患者団体との連携の現状
発表者:関根知嘉子さん(大阪医療センター)
まず、大阪府には合計63もの国指定、府指定の拠点病院があり、拠点病院間での情報共有や連携が難しく、全体で何か協議をしたり、意見交換したりすることも簡単ではないという全体の課題が報告されました。
がん患者団体との連携に関して、連携の現状と、「相談員の率直な気持ち」をくみ上げることを意図した調査を、大阪府内がん診療連携拠点病院に所属するがん相談員実務者を対象として実施しました。院内のがん患者会やサロンとの連携は84%が必要と感じているが、実際に患者会やサロンが活動的であると感じているのは31%にとどまり、連携できる団体、グループを見つけられない状況がうかがえました。参加者の継続性や、コアメンバーとなる参加者の主体性といった患者会・サロン側の要因とともに、院内スタッフの関心や、活動に避ける時間の有無という、がん相談支援センター側の要素も連携の促進要因として大きいと感じている相談員が多いことがわかりました。
また、院外の連携については、94%の相談員が必要と感じていましたが、31%が「この1年に何も関わっていない」と回答し、最も多い関わりは「団体からの郵送物(40%)」であるなど、関わりの程度は薄い傾向がありました。まずは患者団体について「知る」ことを課題として、部会と患者団体との協働についても検討していきたいと締めくくられました。
報告のあとのディスカッションでは、患者会同士の連携の難しさや摩擦があることについて追加発言があり、滋賀県では「ピアサポーターの心得」を作成して共有することでそうした課題を乗り越える努力をしていることが紹介されました。

■グループワーク:府・県内のがん相談支援センターががん患者団体と『連携』・『協働』する際に、すべきことは何か?

午後の部のグループワークでは、川本たか子さん(奈良県立医科大学附属病院)、橋口周子さん(兵庫県立がんセンター)が座長を務め、7-8名ずつの18のグループに分かれて4つのサブテーマについてディスカッションが行われました。
グループワーク 風景
1つ目のテーマ「ピアサポートの効果と効用」について話し合ったグループからは、がん患者同士のみでしか得られない、支えあう、わかりあうことのできること、支える側支えられる側双方が成長できることに大きな意義を感じることが全グループから報告されました。その上で、がん相談支援センターとの関わり方については、まず、ピアサポーターが何をしてくれる人なのか相談員が理解することが必要ではないか、相談員とピアの方が議論する場があるとよい、といった意見、会の円滑な運営への協力や必要な場合の適切な情報提供、機関紙を作る、イベントを開催するといった具体的な協力内容、そして、ほかの患者に効能の確かめられていない薬を薦めてしまったなどのトラブルの責任についての問題を整理していかなければならないといった点が話題となりました。
グループワーク 風景
ピアサポーターの養成については、滋賀県のように、はじめに規約を作っておく、県が後援して養成講座をするといった有効な実例が紹介されるとともに、ピアサポートが一定レベルになっているかをフォローアップをしていくことも必要ではないかとの意見、中には、ピアサポーターの講習を相談員も受けてみて、相談員自身が学ぼうという結論に至ったグループもありました。
ピアサポートの機能を効果的に活用するためには、医療者から声をかけると患者さんが参加しやすいという現状を踏まえ、院内医療者に周知が必要といった意見も出されました。
グループワーク 風景
2つ目のテーマ「がん患者会との連携」を話し合ったグループからは、実情として、必要性は感じながらも連携や把握ができていない、実際どのような患者会があるのかがつかめていない府県もあることがあげられ、二次医療圏ごとに病院と患者会がつながりを作り、情報を集約する仕組みが必要ではないか、それらを一覧にして示す必要があるのではないか、といった具体案も提案されました。連携を考えるにあたり、基本的な姿勢として、患者会やサロンはどう患者の声をひろいあげて立ち上げていくものであり、あくまで患者さんの主体性を支援していきたいという発言が複数のグループからあげられました。また、関わりの中で感じる困難としては、偏った考え方に傾いていると感じる場合、どこまで直接的に関わるのか、また一度立ち上がった会も若い人が確保できない、中心となる人が変わる過程で活動が維持できないなど、の難しい現状があること、患者会への相談員がどれくらい関わっていけるかに関しては、病院のトップに左右されることが多いといった点もあげられました。
グループワーク 風景
3つ目のテーマ「がんサロンの運営」について話し合ったグループからは、場所と予算の確保、中心となる人材の不足、参加者が少ないことやメンバーの固定化などが課題になっているとの意見が多く出されました。場所と予算の確保については、必要性や実績について説得力のある説明や資料が必要と思われること、アンケートの実施などデータを収集する必要があるのでは、といった対応案が出されました。中心となる人材については、ピアサポーターのモチベーションがわからない、人材がいても病状が安定しないといった課題が複数のグループから出され、患者さん主体で運営してほしいが、患者さんだけでは負担に感じる場合もあり、がん相談支援センターからのサポートが必要と思われること、一方で医療者任せになることは避けたいといった主体性の持ち方についてかじ取りの難しさも述べられました。参加者の確保については、院内医療者への周知をはかり、院内スタッフからの情報提供が有効ではないか、院内の掲示物やパンフレットのみならず、一度参加された方に次のアナウンスを郵送する、県の広報に掲載してもらうといった院外への広報の必要性もあげられました。
最後の4つ目のテーマ「地域活動の企画」を検討したグループからは、まず、地域にがん相談支援センターを知ってもらう必要があり、院内外においてがん相談支援センターの周知をはかっていく必要があるという意見が複数あがりました。そのために、医師会の協力を得ながら地域の診療所のパンフレットを置いてもらう、検診の前後に相談できる場を作るなど、地域に出て行く活動、地域の機関にがん相談支援センターが講演会等々で協力できることを伝えていくことが必要ではないかという具体案も出されました。また、患者会と協働することで、患者会をサポートする共に、患者会が持っている地域の力を活用させてもらうこともでき、それによって必要な人に情報を届けることができるのではないか、という意見も出されました。
全体討議 風景
全体討議では、子育て世代の患者さんや仕事復帰した人などサロンに参加してほかの人と話をしたいが参加しにくい患者さんもいること、そのためにはインターネットを利用した交流や、参加できるような開催時間や場所の確保についての工夫について意見が交わされました。サロンの運営にどれほどの柔軟さをもつことができるかは、病院の方針や経営者の裁量によるところもあり、土日に相談員が参加しにくいといった現状もあるが、カフェで行う、NPOや民間企業と連携するなどの実例も紹介しあいました。

■閉会のあいさつ

東山副院長
若尾文彦センター長(国立がん研究センターがん対策情報センター)から、この場で得た情報を、参加できなかったほかの相談員伝えてほしいこと、明日からできることがあるのでそれを活かしてほしいこと、また組織の上長にも報告し、今日得たものがより有意義に組織に活かされるよう取り組んでほしいという希望が述べられました。また、継続してフォーラムが開催される地域においては、前回のフォーラムから何が変わったのかを互いに報告しあうことでPDCAサイクルが確保されていること、ぜひ近畿ブロックでも取り組みをつなぎ、継続してほしいというメッセージがありました。

東山副院長からは、このフォーラムが、2年かけて6府県の実行委員が取り組んだ会であることが紹介され、今日の隣県との情報交換の中で、自県の強みを知ったり、他県から知恵を得たりすることができる場になったと思う、ぜひこの6府県の取り組みを今後につなげていきたいという言葉で閉会しました。

■資料

地域におけるがん患者団体等との連携と協働の現状について:各府県報告
・和歌山県(PDF:724KB
・滋賀県(PDF:426KB
・奈良県(PDF:896KB
・兵庫県(PDF:100KB
・京都府(PDF:433KB
・大阪府(PDF:1.4MB
用語集
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