- 日時
- 2019年04月25日(木)17:30~19:00
- テーマ
- がん患者の感染症診療
(静岡県立静岡がんセンター発信)
司会 静岡県立静岡がんセンター 感染対策室長補佐 堤 直之
がん患者の感染症治療は難しい。がん自体の存在に加え、化学療法や外科治療により免疫不全の状態になる。免疫不全の状態から多くの微生物が感染症の原因菌になりうる。がん治療には様々なデバイスが必要となり感染症のリスクとなる。そして、がん患者が感染症を発症すると、その背景の複雑さから治療に難渋するだけでなく、本来行うべきがん治療が遅れる懸念がある。そこで、がん患者の感染症を、内科的見地、外科的見地から解説し、その上で総合的に検討したい。
1.免疫不全患者の発熱
司会:静岡県立静岡がんセンター 感染対策室長補佐 堤 直之
演者:静岡県立静岡がんセンター 感染症内科部長 倉井 華子
免疫不全の感染症は「好中球減少」「細胞性免疫不全」「液性免疫不全」の3つに分けると、原因となる微生物や進行スピードが推定しやすくなる。好中球減少時は細菌や真菌が中止となり、時に急激に悪化することがある。細胞性免疫不全では進行は緩徐であるが多彩な微生物が問題となる。液性免疫不全は肺炎球菌のような莢膜を持つ微生物による劇症型の感染症が発生しうる。いずれの免疫不全でも、局所所見や重症感が非免疫不全患者に比べ乏しい傾向にあり、健常者と同様の感覚で診療を行っていると時に足をすくわれる。実際の症例も提示しながら注意点について簡単にまとめる。
2.術後患者の発熱の診断アプローチ
司会:静岡県立静岡がんセンター 感染症内科 部長 倉井 華子
演者:静岡県立静岡がんセンター 感染症内科 副医長 伊東 直哉
当院での感染症コンサルテーションの多くは外科の先生方からの紹介です。
紹介理由は「手術後の発熱」で、手術部位感染症(SSI)が原因であることが最も多いのですが、術後の発熱=(イコール)SSIではありません。
カテーテル関連血流感染症や膀胱カテーテル関連尿路感染症など、あるいは薬剤熱、深部静脈血栓症といった非感染症が原因となることも少なくありません。
本講義では、術後患者の発熱の診断アプローチ法を簡単に解説します。